コラム

 公開日: 2018-06-09 

生前に不動産を整理しておくコツ

生前整理においてはモノの整理だけではなく、財産の整理も重要です。そして、財産の中でも大きなものは不動産でしょう。今回は不動産の整理についてお話しします。

必要な書類当の整理と自分の意思

不動産と言えば、まず思い浮かぶのはご自分が住んでいる家と土地、あるいは自宅マンションでしょう。

その登記簿謄本(登記事項証明書)、登記済権利証・登記識別情報など、遺族が必要になる書類を揃え、その保管場所が分かるようにしておきましょう。

アパート経営、駐車場経営などをなさっている方は、それらについても同様にしておきます。

ローンがある場合、融資を受けた金融機関名、残債等が分かるようにしておく必要もあります。また、登記やローン契約に用いた印鑑のある場所も分かるようにしておきましょう。

さて、ここまではご自分できるとおもいますが、問題なのは相続には税がかかることです。相続税が多額になる場合、遺族が困ることも考えられます。

相続税は現金一括払いにすることが難しい場合、分割で払う「延納」、不動産そのものを納める「物納」があります。この点について、専門家のアドバイスを受けたうえで、遺族が判断に困らないようにしておくのも重要です。

たとえば、自宅について「物納にしてもよい」という意思を明示しておくだけで、相続税に苦しむ一方、「親の家を売りたくない」という気持ちで思い悩む遺族の心的負担を軽減することになります。

相続に重要になる書類等の整理と、自分の意思が遺族に分かるようにしておくことと言えるでしょう。

有効な遺言書とは

生前整理のツールとして市販されている「エンディングノート」には、不動産を含めた財産目録を記載するページも用意されています。

しかし、エンディングノートにたとえば「家と土地は長男に遺す」と自分の意思を記しても法的な拘束力はありません。ここが法的な拘束力を持つ「遺言書」と違うところです。

法的な拘束力を持つ遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。

自筆証書遺言とは、その名のとおり、自分が書く遺言書です。自分で書くわけですから費用はかかりませんし、いつでも書く気になった時に書けるというメリットはありますが、それが法的に効力のある遺言書と認められるためにはさまざまな規定があります。

まず、ワープロは使えません。全部手書きでなければなりません。物件ごとに不動産の登記簿通り正確に書かなければなりません。もし書き間違いがあればそこを訂正しなければなりませんが、訂正の仕方にも厳格な決まりが定められています。とても煩雑なので専門家の方が、自筆をあまりおすすめしない理由です。

公正証書遺言は、公証人に作成してもらう遺言書です。公証役場で公証人に遺言内容を伝え、証人2人の立ち会いのもと公証人が作成します。遺言書としての信頼性が高く、安心です。公正役場で管理されますから偽造などの心配もありません。

秘密証書遺言。現在、利用する人はごくわずかしかいません。公正証書遺言と同じく、公証人と2人以上の証人に遺言書の「存在」の証明をしてもらいます。「秘密」の理由は、公証人、証人含め、本人以外は遺言の内容を見ることができない点です。

遺言書の「存在」は承認されますが、記載については自己の責任ですから、不備があれば無効になってしまいます。

しかし、エンディングノート、あるいは別の用紙にでも「遺言」を書くことは、公証人はじめ専門家に遺言内容を伝える際の事前の整理になりますし、自分の意思を確認する作業になります。

さまざまな不動産相続

さて、ここで親の資産が「家と土地+貯金」という例で相続について考えてみましょう。

問題になるのは不動産についてです。不動産はお金のように簡単に分割できないからです。ここでは兄弟2人が相続するということにして、どのような分割方法があるかを見てみましょう。

①現物分割
一番シンプルな方法で、個々の財産の形状や性質をあるがまま分割する方法です。たとえば「家と土地」は兄、「貯金」は弟が相続するというケースです。

②代償分割
しかし、兄が相続した「家と土地」の価値が、弟が相続した貯金に比べてはるかに高いというケースも出てきます。
代償分割は、その分を兄が弟に支払うということです。ただこの場合、兄は現金を用意しなくてはなりませんから、兄の負担も考えておかなければなりません。

③換価分割
この方法は、不動産を売却して現金化し、分割しやすくする方法です。遺された貯金は兄弟で2分割、家と土地を売った売却金も兄弟で2分割することになります。
公平に分配することができるというメリットはありますが、家と土地が人手に渡ることになります。

以上、不動産の相続に関する3つの方法を見ましたが、不動産の相続は難しく、遺産争いの要因となるケースが多いようです。
生前整理において、公証人、行政書士、弁護士など専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。

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