コラム

 公開日: 2012-02-24 

法律で実施が求められる長時間労働者への医師による面接指導制度

労死や過重労働が大きな社会問題となっていますが、労働安全衛生法では、脳・心臓疾患の発症を予防するため、長時間労働により疲労が蓄積した従業員に対し、医師による面接指導を実施することを事業主に義務付けています。そこで今回は、この医師による面接指導について解説します。


1.医師による面接指導の概要
 面接指導とは、長時間労働により疲労が蓄積し、健康障害発生のリスクが高まった従業員に対して、医師が問診その他の方法により心身の健康状況を把握し、これに応じた指導を本人に対して行うことを言います。
2.面接指導の具体的対象者
 面接指導の対象となる従業員は、1ヶ月あたりの時間外労働時間および休日労働時間(以下、「時間外労働時間」という)の合計が100時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる者とされています。なお、実際の面接指導は従業員からの申し出により行われます。
3.面接指導時の医師の実施事項
 面接指導において、医師は対象労働者の勤務状況を把握し、疲労の蓄積状況の把握を行います。その際には、ストレスが関係する精神疾患等の発症を予防するために、メンタルヘルス面にも配慮し、当該従業員に対して面接結果に基づく必要な指導を行うことになっています。これは、労災認定された自殺事案には長時間労働に起因するメンタルヘルス不全によるものが多いと分析されているためです。
4.事業主が行う事後の対策
 事業主は、面接指導の結果について医師より意見聴取を行い、結果の記録を作成し、事後の対策を実施する必要があります。具体的な対策としては、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数削減等が挙げられます。更に、医師の意見を衛生委員会等へ報告を行うことも必要になります。
5.その他の従業員への対応
 2.以外にも、1ヶ月あたりの時間外労働時間の合計が80時間を超えるような従業員については、申し出により医師の面接指導等を実施するよう、事業主に努力義務が課せられています。この場合、医師による面接指導のみではなく、これに準ずるものとして保健師等による保健指導を受けさせることも考えられます。また、対象とする従業員については、いわゆる過労死認定基準などに対応し、時間外労働時間が2ヶ月から6ヶ月平均が月80時間を超える者など、事業所で基準を定め実施することが考えられるでしょう。

 医学的にも長時間労働と脳・心臓疾患の発症は、その関連性が強いとされていることから、企業では過重労働対策が労務管理において非常に重要な課題となっています。よって事業主は、この医師による面接指導が確実に運用できるように仕組みを整備した上で、時間外労働時間を把握し、長時間労働に該当する従業員にはこの制度を利用するように勧めることが必要になるでしょう。





※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております

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