コラム

 公開日: 2018-03-12 

漫画海賊版サイトの問題

弁護士の田沢です。

JIJICO記事です。技術の進歩に法律が追いついていない例ですかね。
https://asqmii.com/jijico/2018/03/12/articles30041.html
【漫画海賊サイト、なかなか撃退できないのはなぜ?著作権法上の問題は 】
漫画海賊サイト、いったい何が問題?複製権の侵害にあたる?

著作権者の許可なく多数の漫画が掲載されている漫画海賊サイトが話題となっていますので、サイト運営者やサイト利用者に生じる著作権法上の問題等を解説してみます。

まず、漫画をその著作権者の許可なく複製する行為は、著作権者が有する著作物を複製する権利(複製権)を侵害します。

サイト運営者が許可なく漫画を撮影したということであれば、その段階で複製権を侵害することになりますが、インターネット上にある漫画の画像を利用しているだけだということになると、違法に作成された可能性のある画像(複製物)をどのように利用しているのかを分析する必要があります。

「画像」のダウンロード自体は私的使用目的なら現行法では違法にはならない

ところで、私的使用のための複製は、一定の場合を除いて違法ではありません(同法30条1項)。

しかしながら、技術の進化により音楽や映像が簡単にインターネット上にアップロードされ、これをダウンロードできるようになったことを受けて、平成21年の著作権法改正により、私的使用の目的であっても、違法にインターネット配信されていることを知りながら、音楽や映像をダウンロード(録音又は録画)することは、罰則はないものの違法とされました。

あくまでも、音楽や映像に限定されていますので、違法にインターネット配信されている画像をダウンロードすることについては、私的使用を目的とする限りにおいて、違法ではないということになります。

サイト運営者の「違法ではない」という主張は妥当か?

また、著作権を侵害する行為は、著作権法119条1項に罰則が設けられています。

平成24年の著作権法改正により、有料で販売ないしインターネット配信されているような音楽や動画が違法にアップロードされている場合において、それが違法であることを知りながら私的使用の目的でダウンロードする行為自体も罰則の対象とされました(同条3項)。

今回の事例について言えば、サイト運営者が、私的使用の目的ではなく営利を目的としてインターネット上にある違法に作成された画像(複製物)をダウンロードしていた場合には、ダイレクトに複製権侵害の問題が生じますし、罰則の対象ともなり得ます。

この点、サイト運営者は、インターネット上にある画像データをクローン表示している、あるいはプロキシを通じて表示しているのみであるから違法ではないなどと主張しているようです。

民事法令の場合、法条の文言に該当しないため直ちに適用できない場合でも、その法条の趣旨を類推して適用を可能とする「類推適用」という手法があるのですが、刑事法令の場合は、人権侵害にならないように罰則の明確化の要請が働くため、このような「類推適用」というものが認められていません。

そうしますと、権利者とサイト運営者との民事的な法律関係を決する場合には、類推適用という形で対処できても、国家がサイト運営者に刑事罰を科するという場面では、類推適用という形で対処することができず、罰則による取締りそのものが非常に困難ということになります。

仮に、権利者が著作権侵害で告訴したとしても、捜査機関において犯罪に該当するものと明確に判断できないからです。

しっかりとした解決のためには著作権法上の課題が残る

そうなってくると、漫画海賊サイトの問題を解決するためには、やはり著作権法を改正するなど明確な規定を設けて対処していくことが必要と考えられます。

ただし、そのためには様々な利害が渦巻く国民のコンセンサスが必要となってきますので、そのための啓発活動も欠かせないといえるでしょう。

当事務所へのご相談予約,お問合せは,お気軽に下記へ


顧問契約に関しては下記をご覧ください。


弁護士 田沢 剛
〒223-0033
横浜市港北区新横浜3丁目19番11-803号
新横浜アーバン・クリエイト法律事務所
045-478-2660
045-478-2670(FAX)
http://www.uc-law.jp/

この記事を書いたプロ

新横浜アーバン・クリエイト法律事務所 [ホームページ]

弁護士 田沢剛

神奈川県横浜市港北区新横浜3-19-11 加瀬ビル88 803号室 [地図]
TEL:045-478-2660

  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
Q&A
セミナー・イベント
Yahoo!ニュース掲載

Yahoo!ニュースに配信されました。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180614-00008031-bengocom-socihttps://www.bengo4.com/internet/n_8031/東海道新幹...

弁護士インタビュー
インタビュー記事

弁護士ジャパンさんからインタビューを受けました。https://bengoshi-japan.com/interview/archives/828

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
裁判官の経験を生かし、倒産処理や遺産相続問題などに取り組む

法的トラブルを解決する身近な弁護士(1/3)

 「まだまだ一般の人にとって、弁護士事務所というのは敷居が高いのかなと感じています。依頼人の悩みに同じ思いで解決にあたることで、弁護士事務所をもっと身近に感じてもらえたらいいなと思っています」 そう話すのは、新横浜アーバン・クリエイト法...

田沢剛プロに相談してみよう!

朝日新聞 マイベストプロ

裁判官として数々の紛争処理を経験してきたこと

会社名 : 新横浜アーバン・クリエイト法律事務所
住所 : 神奈川県横浜市港北区新横浜3-19-11 加瀬ビル88 803号室 [地図]
TEL : 045-478-2660

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

045-478-2660

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

田沢剛(たざわたけし)

新横浜アーバン・クリエイト法律事務所

アクセスマップ

このプロに資料を請求する
このプロへのみんなの声

加害者から大変不利な示談書を書かされてしまい,悩んでいました。

 私は,相手の信号無視により大ケガを負わされました。  相...

S
  • 30代/男性 
  • 参考になった数(6

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
職員不正採用取消処分の違法性
イメージ

弁護士の田沢です。不正に採用された地方公務員に対する採用取消処分の違法性について,JIJICC寄稿を頼まれま...

[ 時事ネタ ]

文科省次官候補の汚職
イメージ

弁護士の田沢です。文科省次官候補と目されていた方が受託収賄罪で逮捕されたようです。https://headlines.y...

[ 時事ネタ ]

司法による冤罪被害
イメージ

弁護士の田沢です。昨日,中国放送の元アナウンサーが受けた窃盗の冤罪被害について,北村弁護士が解説するT...

[ 古巣の裁判所 ]

マジですか?
イメージ

弁護士の田沢です。新潟県知事の女性問題が,「買春」ということで文春ネタになっています。このお方,学部は...

[ 時事ネタ ]

NHKワンセグ訴訟逆転判決
イメージ

弁護士の田沢です。先月,ワンセグ付きスマホを所有しているだけでNHKと受信契約を締結する義務があるのか...

[ 時事ネタ ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ