コラム

 公開日: 2016-08-31 

PCデポのサポート契約解約料問題

弁護士の田沢です。

PCデポのサポート契約解約料が問題となりました。この問題について,JIJICOに解説記事を書きました。
↓↓
http://jijico.mbp-japan.com/2016/08/31/articles21119.html

【PCデポ高額請求問題の背景にあるもの】
 PCデポ高額請求問題は,IT化社会の中で生活しなければならない高齢者が消費者被害に巻き込まれる危険性を浮き彫りにしました。
今後,人口に占める高齢者の割合が増加していることに鑑みると,特定商取引法による規制の対象を拡げていくことも検討する必要があるのではないでしょうか,考えてみました。

【不当な契約を締結させられる危険性は高齢者に限らず存在する】
 契約が有効に成立するためには,その契約のもたらす法律効果を理解できる能力,すなわち意思能力があることが前提です。
従って,意思能力がない者による契約は無効となります。
 しかしながら,意思能力のない者であっても,社会の一員である以上,財産上の権利・義務の主体となり得るのであって,契約社会から完全に排除してしまうわけにはいきません。
 一定の年齢に達した高齢者だからといって,意思能力がないなどと一律に決めることはできませんが,契約の相手方にとってみれば,一旦締結した契約が,事後的に意思能力がなかったなどと主張されて契約が無効になってしまうようでは,不測の損害を被りかねません。
 そこで,このような意思能力の劣っている者の財産管理能力を補完するために設けられたのが,成年後見制度ということになります。
 しかしながら,十分な判断能力がないところにつけ込まれて,事業者により不当な契約を締結させられ,多額の損害を被ってしまうということは,何も高齢者に限ったことではありません。
 昨今のように,事業者側と一般消費者との間に,そもそも持っている情報量や交渉力に格段の違いが出てくると,「契約の当事者は対等な関係にあること」を前提に定められた民法では対処し切れなくなってしまいましたので,新たに特別法を定めて消費者を積極的に保護するようになってきているのです。

【特定商取引法による規制の対象を拡げていくことの検討も必要】
 今回のPCデポの問題の1つとして,サポート契約をした高齢者の方には必要なさそうなオプション契約がいくつも含まれていたということが挙げられています。
 かつて,布団や着物など,特定の人物(高齢者が多い。)に対し訪問販売により次々と商品を売り付ける商法が問題となりましたので,このような過量販売は,現在,特定商取引法という法律で規制されるようになっています。
 ただ,あくまでも訪問販売ですので,店頭での契約の場合は対象外です。
 次の問題は,中途解約により高額な解約料を請求されたという点です。
 消費者を保護するための基本法となっている消費者契約法9条1号によれば,解約金等を定めた条項も,消費者側の解約によって,相手方たる事業者に通常生ずる平均的な損害額に相当する解約金等の支払義務を負わせるところまでは認めるが,それを超える部分は認めないものとされています。
 但し,この「相手方たる事業者に通常生ずる平均的な損害額」を超える部分が無効であることについては,最高裁により,業界の事情に詳しいわけではない消費者側が立証しなければならないものとされてしまったため,消費者保護を目的とする法律の趣旨に照らして疑問を禁じ得ないところですが,いずれにしても,事業者側の言いなりに支払う必要はありません。
 なお,このPCのサポート契約については,無条件解約にできるクーリングオフの対象となっていればよかったのでしょうが,特定商取引法上,クーリングオフの対象となる継続的サービス取引には,エステティックサロンや語学教室などのみが指定されており,PCのサポート契約は指定されていません。

 IT化社会が進んだ今,特定商取引法による規制の対象を拡げて行くことも検討する必要があるかもしれません。

当事務所へのご相談予約,お問合せは,お気軽に下記へ


顧問契約に関しては下記をご覧ください。


弁護士 田沢 剛
〒223-0033
横浜市港北区新横浜3丁目19番11-803号
新横浜アーバン・クリエイト法律事務所
045-478-2660
045-478-2670(FAX)
http://www.uc-law.jp/
http://lmedia.jp/author/tazawa/

この記事を書いたプロ

新横浜アーバン・クリエイト法律事務所 [ホームページ]

弁護士 田沢剛

神奈川県横浜市港北区新横浜3-19-11 加瀬ビル88 803号室 [地図]
TEL:045-478-2660

  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
Q&A
セミナー・イベント
Yahoo!ニュース配信

Yahoo!ニュースに配信されました。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161128-00005398-bengocom-socihttps://www.bengo4.com/c_1009/n_5398/歌手のASKA(...

弁護士インタビュー

弁護士ドットコム編集部から,元裁判官の立場でインタビューを受けました。YouTubeにアップして頂きましたので,ご覧ください。https://www.youtube.com/wat...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
裁判官の経験を生かし、倒産処理や遺産相続問題などに取り組む

法的トラブルを解決する身近な弁護士(1/3)

 「まだまだ一般の人にとって、弁護士事務所というのは敷居が高いのかなと感じています。依頼人の悩みに同じ思いで解決にあたることで、弁護士事務所をもっと身近に感じてもらえたらいいなと思っています」 そう話すのは、新横浜アーバン・クリエイト法...

田沢剛プロに相談してみよう!

朝日新聞 マイベストプロ

裁判官として数々の紛争処理を経験してきたこと

会社名 : 新横浜アーバン・クリエイト法律事務所
住所 : 神奈川県横浜市港北区新横浜3-19-11 加瀬ビル88 803号室 [地図]
TEL : 045-478-2660

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

045-478-2660

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

田沢剛(たざわたけし)

新横浜アーバン・クリエイト法律事務所

アクセスマップ

このプロに資料を請求する
このプロへのみんなの声

誠心誠意あふれる親身なご支援に心から深く感謝申しあげます。

 追突事故による妻の頚部損傷は軽度でしたが,事故後の手の...

L
  • 40代/女性 
  • 参考になった数(5

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
供述調書捏造って…
イメージ

弁護士の田沢です。またまた神奈川県警の不祥事ですか?供述調書捏造って,なんでそこまでするかな?冤罪の一...

[ 刑事事件雑感 ]

不可解な嘆願書
イメージ

弁護士の田沢です。どうしてこんな嘆願書を作成できたのでしょうか?もしも母親主導で作成したというのであれ...

[ 刑事事件雑感 ]

ASKA再逮捕に寄せて…
イメージ

弁護士の田沢です。昨日頼まれて書いたYahoo!ニュースの記事には書かなかったんだけれど,やっぱり薬物...

[ 刑事事件雑感 ]

原発関連いじめ
イメージ

弁護士の田沢です。横浜市の原発関連いじめ問題,以前,ここのコラム(http://mbp-kanagawa.com/uc-law/column...

[ 時事ネタ ]

取調べ中の暴行で死亡?
イメージ

弁護士の田沢です。奈良県警により取調べを受けていた医師が死亡したのは,取調べ中に警察官から暴行を受けて...

[ 刑事事件雑感 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ