コラム

 公開日: 2015-06-18 

少年法適用年齢の引下げに異議!

弁護士の田沢です。

選挙権年齢の引下げに伴い,少年法適用年の引下げが検討されているようです。僅かながらr家庭裁判所で少年審判を扱ってきた経験を持つ身としても,引下げには反対です。以下,JIJICOコラムです。
http://jijico.mbp-japan.com/2015/06/17/articles17919.html
【18~19歳を「年長少年」として保護、少年法の適用年齢引き下げの意味】
 先日、選挙権年齢の引下げに関連する事項として、自民党の「成年年齢に関する特命委員会」は、少年法の適用年齢を現行の20歳未満から18歳未満に引き下げると同時に、18歳および19歳を「年長少年」として「新たな保護策を設けることを検討する」との報道がありました。
 ドイツではこの年長少年について、犯情や精神的成熟度などを総合考慮して、刑法を適用するか少年として扱うかを少年裁判所で最初に決め、少年として扱われることになれば「14歳以上18歳未満の者と同じ手続となる」という、柔軟な措置が講じられています。これを参考にすることで、少年法の適用年齢の引下げに慎重な立場にも配慮するようです。
現行法のもとでは、20歳未満の者に対しては原則的に少年法が適用されて保護処分の対象となり、例外的に刑事処分の対象となります。検討案では、年長少年については原則的に刑事処分の対象とされ、例外的に少年法が適用されて保護処分の対象となるわけですから、原則と例外を逆転させることになります。
 この少年法の適用年齢を引き下げることについては、日本弁護士連合会のみならず、各地の弁護士会がこぞって反対意見や反対声明を発しています。法律は、それぞれにおいて立法趣旨や目的が違いますので、法律の適用年齢を考えるにあたっては、法律ごとに個別具体的に検討すべきであるというものです。選挙権年齢が引き下げられたからといって、それに引きずられて少年法の適用年齢を引き下げる必要性はありません。
 民法では成人年齢を20歳としていますが、養子縁組能力や遺言能力を15歳で認めていますし、未成年者喫煙禁止法や未成年者飲酒禁止法、風俗営業法などでも規制年齢が統一されていません。人格の形成途上で精神的に未熟な若年に対しては刑罰を科すのではなく、保護処分を行うことにより若年の健全育成を図り、再犯を防止できるということが反対論の大きな理由です。
 少年法の適用年齢が18歳未満に引き下げられると、家庭裁判所が取り扱っていた若者の約40%が少年法の適用から外れて保護処分の対象外となります。そして、その成育歴や資質などを分析した上で施される、立ち直りのための手当てがなされないまま手続が終わってしまいかねません。
 アメリカやドイツの統計的研究でも、刑事裁判を受けて釈放された若者の再犯率は、保護処分を受けて釈放された若者の再犯率よりも高く、若者を刑事処分の対象とすることが必ずしも再犯を防止することにはつながっていません。むしろ悪影響を及ぼして「犯罪傾向を強めることになるのではないか」といった報告もあるようです。
 少年による凶悪犯罪に接するたびに「現行の少年法では甘い」という意見が出ますが、そもそも旧少年法の適用年齢が18歳未満とされていたにもかかわらず、若年犯罪の増加と悪質化が顕著になった状況を踏まえて、昭和23年に適用年齢を20歳未満に引き上げたのが現行少年法であるということを忘れないでいただきたいものです。

関連記事は,こちら↓↓
http://jijico.mbp-japan.com/2015/01/21/articles14999.html
【20歳未満は罪を犯しても刑務所に行かなくて済む?】
 「つまようじ事件」で世間を騒がせ、逮捕されたのは19歳の少年でした。少年は「自分のような19歳の人間が捕まっても、刑務所ではなく少年院に行くことになるのはおかしい。少年法を改正すべきだ」などと主張しているとの報道もなされていますが、実際のところはどうなのでしょうか。
 まず、現行少年法のもとでも、少年が成人と同様に処罰されて刑務所に行くことはあります。家庭裁判所で行われる少年審判手続は、あくまでも20歳に満たない「少年」を対象としていますので、罪を犯したときに少年であったとしても、家庭裁判所に送致されるときにすでに20歳に達していた場合には、家庭裁判所に送致されることなく、通常の刑事手続として進行します。また、一旦は家庭裁判所に送致されたものの、その後に20歳に達した場合でも、家庭裁判所から検察官に送致され、通常の刑事手続として進行させることになります。
 さらに、たとえ少年であっても、家庭裁判所が「死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当」と判断した場合は、検察官に送致しなければならず、特に「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件で、犯行時に16歳以上であった少年」については、原則として検察官に送致し、刑事手続として進行させなければなりません。
 このように、19歳の少年だからといって、刑務所に行くことは絶対にないなどということはありません。ただ「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪」以外の罪の場合において、少年であるにもかかわらず刑事処分に付されて懲役刑を科されるというのは、犯罪的傾向が非常に進行しているような場合に限られるでしょう。少年の考え方が稚拙で精神的に未成熟であれば、刑事処分ではなく、原則どおり保護処分が相当とされることが一般的でしょう。
 成人に近い年齢の場合には、成人と同様に刑事処分を受けさせる方向で少年法を見直すべきかという点については、直ちに肯定できるものではありません。それは、昔に比べて寿命が長くなっている分、精神的に成熟するのも遅くなっているかもしれないからです。
 凶悪犯罪の低年齢化により、少年法は、これまで厳罰化の方向で改正されてきました。しかしながら、少年法の理念である「少年の健全育成」は、そもそも社会の責任です。少年の責任を追及すべく、いたずらに刑事処分を受けさせるように少年法を改正していくなどということは、むしろ社会の責任を放棄しているのと同じであるといった考え方も一概に否定することはできないように思われます。

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