コラム

 公開日: 2015-01-23 

少年法は改正されるべき?

弁護士の田沢です。

家庭裁判所で少年事件を担当し,少年調査官と一緒に少年の処遇を考える経験をすると,厳罰化する方向で少年法を改正することには抵抗感があるんですよね。
http://jijico.mbp-japan.com/2015/01/21/articles14999.html
「つまようじ事件」で世間を騒がせ、逮捕されたのは19歳の少年でした。少年は「自分のような19歳の人間が捕まっても、刑務所ではなく少年院に行くことになるのはおかしい。少年法を改正すべきだ」などと主張しているとの報道もなされていますが、実際のところはどうなのでしょうか。
まず、現行少年法のもとでも、少年が成人と同様に処罰されて刑務所に行くことはあります。家庭裁判所で行われる少年審判手続は、あくまでも20歳に満たない「少年」を対象としていますので、罪を犯したときに少年であったとしても、家庭裁判所に送致されるときにすでに20歳に達していた場合には、家庭裁判所に送致されることなく、通常の刑事手続として進行します。また、一旦は家庭裁判所に送致されたものの、その後に20歳に達した場合でも、家庭裁判所から検察官に送致され、通常の刑事手続として進行させることになります。
さらに、たとえ少年であっても、家庭裁判所が「死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当」と判断した場合は、検察官に送致しなければならず、特に「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件で、犯行時に16歳以上であった少年」については、原則として検察官に送致し、刑事手続として進行させなければなりません。
このように、19歳の少年だからといって、刑務所に行くことは絶対にないなどということはありません。ただ「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪」以外の罪の場合において、少年であるにもかかわらず刑事処分に付されて懲役刑を科されるというのは、犯罪的傾向が非常に進行しているような場合に限られるでしょう。少年の考え方が稚拙で精神的に未成熟であれば、刑事処分ではなく、原則どおり保護処分が相当とされることが一般的でしょう。
成人に近い年齢の場合には、成人と同様に刑事処分を受けさせる方向で少年法を見直すべきかという点については、直ちに肯定できるものではありません。それは、昔に比べて寿命が長くなっている分、精神的に成熟するのも遅くなっているかもしれないからです。
凶悪犯罪の低年齢化により、少年法は、これまで厳罰化の方向で改正されてきました。しかしながら、少年法の理念である「少年の健全育成」は、そもそも社会の責任です。少年の責任を追及すべく、いたずらに刑事処分を受けさせるように少年法を改正していくなどということは、むしろ社会の責任を放棄しているのと同じであるといった考え方も一概に否定することはできないように思われます。

当事務所へのご相談予約,お問合せは,お気軽に下記へ


顧問契約に関しては下記をご覧ください。


弁護士 田沢 剛
〒223-0033
横浜市港北区新横浜3丁目19番11-803号
新横浜アーバン・クリエイト法律事務所
045-478-2660
045-478-2670(FAX)
http://www.uc-law.jp/
http://mbp-kanagawa.com/uc-law/

この記事を書いたプロ

新横浜アーバン・クリエイト法律事務所 [ホームページ]

弁護士 田沢剛

神奈川県横浜市港北区新横浜3-19-11 加瀬ビル88 803号室 [地図]
TEL:045-478-2660

  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
Q&A
セミナー・イベント
Yahoo!ニュース配信

Yahoo!ニュースに配信されました。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170328-00005894-bengocom-socihttps://www.bengo4.com/c_1009/n_5894/ 学校法人「...

弁護士インタビュー
インタビュー記事

弁護士ジャパンさんからインタビューを受けました。https://bengoshi-japan.com/interview/archives/828

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
裁判官の経験を生かし、倒産処理や遺産相続問題などに取り組む

法的トラブルを解決する身近な弁護士(1/3)

 「まだまだ一般の人にとって、弁護士事務所というのは敷居が高いのかなと感じています。依頼人の悩みに同じ思いで解決にあたることで、弁護士事務所をもっと身近に感じてもらえたらいいなと思っています」 そう話すのは、新横浜アーバン・クリエイト法...

田沢剛プロに相談してみよう!

朝日新聞 マイベストプロ

裁判官として数々の紛争処理を経験してきたこと

会社名 : 新横浜アーバン・クリエイト法律事務所
住所 : 神奈川県横浜市港北区新横浜3-19-11 加瀬ビル88 803号室 [地図]
TEL : 045-478-2660

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

045-478-2660

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

田沢剛(たざわたけし)

新横浜アーバン・クリエイト法律事務所

アクセスマップ

このプロに資料を請求する
このプロへのみんなの声

初めてのことで戸惑いや不安がありましたが,有利なかたちで和解できました。

法律的なことについては全くの素人ですが,関連する法規や判...

T・H
  • 50代/男性 
  • 参考になった数(2

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
法テラスはブラック?
イメージ

弁護士の田沢です。法テラスというところは,弁護士をなんだと思ってるんだろう。これはちょっと酷くない?な...

[ 司法制度改革の弊害? ]

ブラック産業医登場!!
イメージ

弁護士の田沢です。ついにブラック産業医なるものが登場しました。従前から存在したのかもしれませんけど,こ...

[ 労働問題,ブラック企業 ]

JIJICOアクセスランキング1位ゲット!!
イメージ

弁護士の田沢です。NHKの受信料を巡る問題について,これまでJIJICOで何度か解説を頼まれ,そのたび...

[ 随筆 ]

もう4月
イメージ

弁護士の田沢です。桜が咲き始める季節になりました。東京ではこの週末の満開が予想されていますが,寒い日が...

[ 随筆 ]

年度末を迎えるにあたり
イメージ

弁護士の田沢です。弁護士事務所の経営においては,年度という概念はあまり関係ないのですが,裁判所が異動時...

[ 古巣の裁判所 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ