コラム

 公開日: 2014-12-02 

児童虐待について

弁護士の田沢です。

痛ましい児童虐待に接するたびに,児童相談所がもっと踏み込めなかったのか,忸怩たる思いがします。
http://jijico.mbp-japan.com/2014/12/02/articles13738.html
全国の児童相談所で対応した児童虐待相談件数は、平成11年に1万件を突破してからも増加を続け、平成25年には7万3000件を超えてしまいました。
このことを鑑み、厚生労働省は、さらなる対策強化に乗り出す方針を固めた模様です。
児童虐待防止法は「都道府県知事は、児童虐待が行われているおそれがあると認めるときは、児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、児童の住所又は居所に立ち入り、必要な調査又は質問をさせることができる。…」(同法9条1項)と定めています。
しかし、相談件数の増加に歯止めがかからないため、平成19年の改正法において「都道府県知事は、児童虐待が行われているおそれがあると認めるときは、当該児童の保護者に対し、当該児童を同伴して出頭することを求め、児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、必要な調査又は質問をさせることができる。…」(同法8条の2第1項)として、出頭要求の制度を設けました。
さらには、保護者が立入調査や出頭要求に基づく調査を拒否するなどした場合の再出頭要求の制度を設けた上(同法9条の2)、再出頭要求までも拒否された場合には、裁判所の許可状により臨検又は児童の捜索を行うことも可能となりました(同条の3)。また、平成23年6月には民法や児童福祉法も改正され、児童虐待を防止するための親権停止制度が創設されて、児童の親族や検察官のほか、児童自身や未成年後見人、児童相談所長等にも親権停止の審判を請求できるようになっています。
しかしながら、児童相談所としては、保護者が非協力的な場合には、依然として尻込みをしてなかなか踏み込むことができない状況です。親権停止の制度も、緊急案件には対処できず、かといって、迅速に対処しないで漫然と時間が経過した場合には、結果的に取り返しのつかないことになりかねません。臨検や児童の捜索に必要となる裁判所の許可状も、保護者が再出頭まで拒否したことが発付の要件となっているため、非協力的な保護者の思う壺になっているともいえるところです。
報道等で痛ましい悲劇に接するたびに,児童相談所の対応には忸怩(じくじ)たる思いを抱く国民は多いでしょう。悲劇を繰り返さないためにも、児童相談所による強制的な立入調査を迅速に行うことができるよう法改正を早く進めるべきではないでしょうか。

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