コラム

 公開日: 2014-08-26 

土砂災害防止法の問題点とは?

弁護士の田沢です。

平成11年に発生した広島の土砂災害を機に制定された土砂災害防止法ですが,警戒区域の指定が遅々として進まず,今回の広島の土砂災害を防止するのに役立たなかったとの疑問の声が出始めていますね。解説しました。

http://jijico.mbp-japan.com/2014/08/26/articles11809.html
平成11年6月29日に土砂災害発生件数325件、死者24名を出した、いわゆる「広島災害」をきっかけに、翌年、国民の生命および身体を保護するため「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」(土砂災害防止法)が公布されました。
この法律は、土砂災害のおそれのある区域について危険の周知、警戒避難体制の整備、住宅等の新規立地の抑制、既存住宅の移転促進等のソフト対策を推進しようとするものです。都道府県知事に対し、おおむね5年ごとの基礎調査を実施させた上で、急傾斜地の崩壊等が発生した場合、住民等の生命又は身体に危害が生ずるおそれのあるとされる「土砂災害警戒区域」、また、建築物に損壊が生じ住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれがあるとされる「土砂災害特別警戒区域」の各指定権限を付与しています。
いずれも指定された場合には公示されることになっているのですが、「土砂災害警戒区域」の指定がなされると、関係のある市町村における災害対策基本法による市町村地域防災計画の中で、土砂災害防止のために必要な警戒避難体制等に関する事項を定めるものとされます。さらに「土砂災害特別警戒区域」の指定がなされると、区域内で特定の開発行為を行うにあたり都道府県知事の許可が必要となるなど、国民の財産権に対する制限が設けられています。
8月20日未明に土砂災害に見舞われた広島県では、土砂災害危険箇所とされる約3万2000箇所のうち37%しか警戒区域に指定されておらず、今回の災害箇所の一部も指定されていなかったことから、土砂災害防止法の問題点が指摘されています。
すなわち、警戒区域の指定は、基礎調査(急傾斜地の崩壊等のおそれがある土地に関する地形、地質、降水等の状況及び土砂災害の発生のおそれがある土地の利用の状況等に関する調査)に基づいて行われるため、調査にあたっては住民の協力や理解を得ながら進める必要があるところ、ひとたび警戒区域に指定されてしまうと地価の下落を招いてしまうため、住民の抵抗に遭ったり、限られた人員や予算のもとで行われるため、指定が順番待ちになるなどの問題が生じているようです。
平成11年の「広島災害」をきっかけに国民の生命及び身体を守るための法律を制定したにもかかわらず、上記のような問題を抱えていることで今回の被害が拡大したのであれば、いつ何どき起こるかもしれない集中豪雨による土砂災害に備えて、都道府県知事による警戒区域の指定を迅速に進められるように、早急に法改正を含めて問題点を解決する方策を講じる必要があるといえるでしょう。

当事務所へのご相談予約,お問合せは,お気軽に下記へ


顧問契約に関しては下記をご覧ください。


弁護士 田沢 剛
〒223-0033
横浜市港北区新横浜3丁目19番11-803号
新横浜アーバン・クリエイト法律事務所
045-478-2660
045-478-2670(FAX)
http://www.uc-law.jp/
http://mbp-kanagawa.com/uc-law/

この記事を書いたプロ

新横浜アーバン・クリエイト法律事務所 [ホームページ]

弁護士 田沢剛

神奈川県横浜市港北区新横浜3-19-11 加瀬ビル88 803号室 [地図]
TEL:045-478-2660

  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

1

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
Q&A
セミナー・イベント
Yahoo!ニュース配信

Yahoo!ニュースに配信されました。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161128-00005398-bengocom-socihttps://www.bengo4.com/c_1009/n_5398/歌手のASKA(...

弁護士インタビュー

弁護士ドットコム編集部から,元裁判官の立場でインタビューを受けました。YouTubeにアップして頂きましたので,ご覧ください。https://www.youtube.com/wat...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
裁判官の経験を生かし、倒産処理や遺産相続問題などに取り組む

法的トラブルを解決する身近な弁護士(1/3)

 「まだまだ一般の人にとって、弁護士事務所というのは敷居が高いのかなと感じています。依頼人の悩みに同じ思いで解決にあたることで、弁護士事務所をもっと身近に感じてもらえたらいいなと思っています」 そう話すのは、新横浜アーバン・クリエイト法...

田沢剛プロに相談してみよう!

朝日新聞 マイベストプロ

裁判官として数々の紛争処理を経験してきたこと

会社名 : 新横浜アーバン・クリエイト法律事務所
住所 : 神奈川県横浜市港北区新横浜3-19-11 加瀬ビル88 803号室 [地図]
TEL : 045-478-2660

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

045-478-2660

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

田沢剛(たざわたけし)

新横浜アーバン・クリエイト法律事務所

アクセスマップ

このプロに資料を請求する
このプロへのみんなの声

初めてのことで戸惑いや不安がありましたが,有利なかたちで和解できました。

法律的なことについては全くの素人ですが,関連する法規や判...

T・H
  • 50代/男性 
  • 参考になった数(2

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
供述調書捏造って…
イメージ

弁護士の田沢です。またまた神奈川県警の不祥事ですか?供述調書捏造って,なんでそこまでするかな?冤罪の一...

[ 刑事事件雑感 ]

不可解な嘆願書
イメージ

弁護士の田沢です。どうしてこんな嘆願書を作成できたのでしょうか?もしも母親主導で作成したというのであれ...

[ 刑事事件雑感 ]

ASKA再逮捕に寄せて…
イメージ

弁護士の田沢です。昨日頼まれて書いたYahoo!ニュースの記事には書かなかったんだけれど,やっぱり薬物...

[ 刑事事件雑感 ]

原発関連いじめ
イメージ

弁護士の田沢です。横浜市の原発関連いじめ問題,以前,ここのコラム(http://mbp-kanagawa.com/uc-law/column...

[ 時事ネタ ]

取調べ中の暴行で死亡?
イメージ

弁護士の田沢です。奈良県警により取調べを受けていた医師が死亡したのは,取調べ中に警察官から暴行を受けて...

[ 刑事事件雑感 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ