コラム

 公開日: 2014-07-30  最終更新日: 2014-07-31

ワンセグ付きスマホとNHK受信料支払義務

弁護士の田沢です。

面白いテーマの解説を依頼されました。
http://jijico.mbp-japan.com/2014/07/30/articles11321.html
NHKがインターネットを活用したサービスを恒常的に提供できるようにするための放送法改正案が、本年6月19日、参議院総務委員会で可決されたのを受けて、NHK会長が「ワンセグが付いていないスマホユーザーからも受信料を徴収する」との意向を明らかにしました。NHKの受信料未払率が年々上昇していることが背景にあるようですが、インターネットに接続できるスマホを持っているだけで受信料を支払わなければならないことになるのは、一般国民にとっては有難くない事態でしょう。
ところで、この発言は、ワンセグ付きスマホの場合、現在でも受信料を徴収されることを前提にしているようですが、果たして本当なのでしょうか。
まず、放送法64条1項は「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備…のみを設置した者については、この限りでない」と定めています。また、同条3項は「協会は、第1項の契約の条項については、あらかじめ、総務大臣の認可を受けなければならない。…」と定めており、この3項による総務大臣の認可を受けたものが日本放送協会放送受信規約です。
そして、この規約4条1項が「放送受信契約は、受信機の設置の日に成立するものとする」と定め、同規約1条2項が、「受信機」について「家庭用受信機、携帯用受信機、自動車用受信機、共同受信用受信機等で、NHKのテレビジョン放送を受信することのできる受信設備をいう」と定めているため、ワンセグ付きスマホも「受信機」に含まれるとして、受信料徴収の根拠とされているようです。
しかしながら、放送法64条3項で「総務大臣の認可を受けなければならない」と定めているのは、あくまで「契約の条項」です。当事者間に成立した契約の内容についてであって、「そもそも誰が契約の当事者になるのか」という点についてまで総務大臣の認可を受けることにはなっていないようにも読めます。そうすると、規約4条1項の定めは総務大臣の認可外の事項であって、NHKが一方的に定めた内容に過ぎないものと考えられ、ワンセグ付きスマホを所持している者に対し、規約4条1項を根拠に受信契約が成立するとして受信料を徴収することは、そもそも法律上の根拠がないと反論することが可能になります。
しかも、放送法64条1項は「受信設備を設置した者」と定めているにもかかわらず、規約1条2項や4条1項ではいつの間にか「受信機」とされていて「携帯受信機」も含まれるものとされているのですから、規約で法律の適用範囲を勝手に拡大してしまっているとの疑念があります。「ワンセグ付きスマホを所持する者」は、そもそも放送法64条1項の「受信設備を設置した者」には該当しないと反論したり、仮に、ワンセグ付きスマホが「受信設備」に含まれるものと譲歩したとしても、同条1項但し書の「放送の受信を目的としない受信設備」であるため、契約義務はないと主張していくことも考えられます。
このように、ワンセグ付きスマホを所持しているからといって、受信料支払義務が生じるのかという点は、法律上はグレーとしか言いようがありません。受信料未払率が上昇しているとはいっても、国民に義務を課すものである以上、法律の明確な根拠が必要であることは論を俟(ま)たないでしょう。

当事務所へのご相談予約,お問合せは,お気軽に下記へ



顧問契約に関しては下記をご覧ください。


弁護士 田沢 剛
〒223-0033
横浜市港北区新横浜3丁目19番11-803号
新横浜アーバン・クリエイト法律事務所
045-478-2660
045-478-2670(FAX)
http://www.uc-law.jp/
http://mbp-kanagawa.com/uc-law/

この記事を書いたプロ

新横浜アーバン・クリエイト法律事務所 [ホームページ]

弁護士 田沢剛

神奈川県横浜市港北区新横浜3-19-11 加瀬ビル88 803号室 [地図]
TEL:045-478-2660

  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
Q&A
セミナー・イベント
Yahoo!ニュース配信

Yahoo!ニュースに配信されました。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161128-00005398-bengocom-socihttps://www.bengo4.com/c_1009/n_5398/歌手のASKA(...

弁護士インタビュー

弁護士ドットコム編集部から,元裁判官の立場でインタビューを受けました。YouTubeにアップして頂きましたので,ご覧ください。https://www.youtube.com/wat...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
裁判官の経験を生かし、倒産処理や遺産相続問題などに取り組む

法的トラブルを解決する身近な弁護士(1/3)

 「まだまだ一般の人にとって、弁護士事務所というのは敷居が高いのかなと感じています。依頼人の悩みに同じ思いで解決にあたることで、弁護士事務所をもっと身近に感じてもらえたらいいなと思っています」 そう話すのは、新横浜アーバン・クリエイト法...

田沢剛プロに相談してみよう!

朝日新聞 マイベストプロ

裁判官として数々の紛争処理を経験してきたこと

会社名 : 新横浜アーバン・クリエイト法律事務所
住所 : 神奈川県横浜市港北区新横浜3-19-11 加瀬ビル88 803号室 [地図]
TEL : 045-478-2660

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

045-478-2660

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

田沢剛(たざわたけし)

新横浜アーバン・クリエイト法律事務所

アクセスマップ

このプロに資料を請求する
このプロへのみんなの声

過払金300万円を取り戻して頂きました。

 この度は,大変お世話になりました。  消費者金融1社につ...

M
  • 60代以上/男性 
  • 参考になった数(9

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
供述調書捏造って…
イメージ

弁護士の田沢です。またまた神奈川県警の不祥事ですか?供述調書捏造って,なんでそこまでするかな?冤罪の一...

[ 刑事事件雑感 ]

不可解な嘆願書
イメージ

弁護士の田沢です。どうしてこんな嘆願書を作成できたのでしょうか?もしも母親主導で作成したというのであれ...

[ 刑事事件雑感 ]

ASKA再逮捕に寄せて…
イメージ

弁護士の田沢です。昨日頼まれて書いたYahoo!ニュースの記事には書かなかったんだけれど,やっぱり薬物...

[ 刑事事件雑感 ]

原発関連いじめ
イメージ

弁護士の田沢です。横浜市の原発関連いじめ問題,以前,ここのコラム(http://mbp-kanagawa.com/uc-law/column...

[ 時事ネタ ]

取調べ中の暴行で死亡?
イメージ

弁護士の田沢です。奈良県警により取調べを受けていた医師が死亡したのは,取調べ中に警察官から暴行を受けて...

[ 刑事事件雑感 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ