コラム

 公開日: 2014-03-27  最終更新日: 2014-07-17

略式起訴とは?

弁護士の田沢です。

猪瀬元東京都知事の略式起訴に寄せて。
http://jijico.mbp-japan.com/2014/03/27/articles8604.html

 検察官が被疑者を起訴する方式として、一般の「公判請求」以外に「略式起訴」があります。前者は、検察官が正式な公判手続を求めて起訴するものである一方で、後者は「100万円以下の罰金又は科料を科す」ことが相当と考えられる事件につき、簡易裁判所に対して、簡略化された手続(いわゆる略式手続)による裁判を求めて起訴する方式です。
 「公判請求」がなされた場合には、裁判官の予断を排除するために、起訴時には証拠書類は提出されず、最終的には公開の法廷で審理され「判決」という形式で判断が下されます。しかし、「略式起訴」がなされた場合には、起訴と同時に証拠資料が提出されて、非公開のまま審理され、「略式命令」という形式で判断がなされます。
 略式手続は、争いのない軽微な事件を迅速に処理することにより、訴訟経済に資するとともに、煩わしい刑事手続から被告人を早期に解放するといったメリットもあることから設けられた制度です。他方で、憲法37条1項は、「すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する」と定めていますので、略式手続そのものが、この憲法に違反するのではないかといった疑問があります。
 しかしながら、略式起訴をする場合、「検察官は、略式命令の請求に際し、被疑者に対し、あらかじめ、略式手続を理解させるために必要な事項を説明し、通常の規定に従い審判を受けることができる旨を告げた上、略式手続によることについて異議がないかどうかを確かめなければならない」(刑事訴訟法461条の2第1項)と定められていますし、実際に略式命令が出された場合でも、「略式命令を受けた者又は検察官は、その告知を受けた日から14日以内に正式裁判の請求をすることができる」(同法465条1項)と定められていますので、最高裁判所は、制度としての必要性・合理性に照らして、合憲と判断しています。
 ただし、検察官が自らに都合よく略式手続を利用することには注意が必要です。すなわち、正式裁判となった場合には、証拠上、有罪の判決を得られない可能性がある事件について、検察官としては「無罪」となるリスクを避けたいといった心理が働きます。無罪判決は、検察官にとっては「負け」を意味するからです。
 そこで、被疑者の「罰金程度で処理してもらえるのなら、早期に解放されたい」という心理に乗じて、略式起訴とすることに同意してもらい、「略式命令」という形式ではあっても「有罪」を勝ち取ることができるというわけです。

当事務所へのご相談予約,お問合せは,お気軽に下記へ


顧問契約に関しては下記をご覧ください。


弁護士 田沢 剛
〒223-0033
横浜市港北区新横浜3丁目19番11-803号
新横浜アーバン・クリエイト法律事務所
045-478-2660
045-478-2670(FAX)
http://www.uc-law.jp/
http://mbp-kanagawa.com/uc-law/

この記事を書いたプロ

新横浜アーバン・クリエイト法律事務所 [ホームページ]

弁護士 田沢剛

神奈川県横浜市港北区新横浜3-19-11 加瀬ビル88 803号室 [地図]
TEL:045-478-2660

  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
Q&A
セミナー・イベント
Yahoo!ニュース配信

Yahoo!ニュースに配信されました。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161128-00005398-bengocom-socihttps://www.bengo4.com/c_1009/n_5398/歌手のASKA(...

弁護士インタビュー

弁護士ドットコム編集部から,元裁判官の立場でインタビューを受けました。YouTubeにアップして頂きましたので,ご覧ください。https://www.youtube.com/wat...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
裁判官の経験を生かし、倒産処理や遺産相続問題などに取り組む

法的トラブルを解決する身近な弁護士(1/3)

 「まだまだ一般の人にとって、弁護士事務所というのは敷居が高いのかなと感じています。依頼人の悩みに同じ思いで解決にあたることで、弁護士事務所をもっと身近に感じてもらえたらいいなと思っています」 そう話すのは、新横浜アーバン・クリエイト法...

田沢剛プロに相談してみよう!

朝日新聞 マイベストプロ

裁判官として数々の紛争処理を経験してきたこと

会社名 : 新横浜アーバン・クリエイト法律事務所
住所 : 神奈川県横浜市港北区新横浜3-19-11 加瀬ビル88 803号室 [地図]
TEL : 045-478-2660

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

045-478-2660

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

田沢剛(たざわたけし)

新横浜アーバン・クリエイト法律事務所

アクセスマップ

このプロに資料を請求する
このプロへのみんなの声

分かり易い説明とスムースな対応で,無事に和解が成立しました。

自動車事故に遭って困っていたため,保険会社からの紹介を受...

N・K
  • 40代/女性 
  • 参考になった数(1

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
供述調書捏造って…
イメージ

弁護士の田沢です。またまた神奈川県警の不祥事ですか?供述調書捏造って,なんでそこまでするかな?冤罪の一...

[ 刑事事件雑感 ]

不可解な嘆願書
イメージ

弁護士の田沢です。どうしてこんな嘆願書を作成できたのでしょうか?もしも母親主導で作成したというのであれ...

[ 刑事事件雑感 ]

ASKA再逮捕に寄せて…
イメージ

弁護士の田沢です。昨日頼まれて書いたYahoo!ニュースの記事には書かなかったんだけれど,やっぱり薬物...

[ 刑事事件雑感 ]

原発関連いじめ
イメージ

弁護士の田沢です。横浜市の原発関連いじめ問題,以前,ここのコラム(http://mbp-kanagawa.com/uc-law/column...

[ 時事ネタ ]

取調べ中の暴行で死亡?
イメージ

弁護士の田沢です。奈良県警により取調べを受けていた医師が死亡したのは,取調べ中に警察官から暴行を受けて...

[ 刑事事件雑感 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ