コラム

 公開日: 2012-04-04  最終更新日: 2014-09-12

人生のエンディングを考える | ご自身の要望を遺言という形で意思表示してみませんか?

 今年も無事に新年度がスタートし、おかげさまで私も本日4月4日に43回目の誕生日を迎えることができました。今年は例年になく冬の寒さが長く続いたためか桜の開花も若干遅れ気味のようですが、四分咲きの桜の花が日本のあちこちで新たな気持ちで新生活を始めた多くの人たちに希望と勇気を与えてくれることを願うばかりです。

 そんな桜の花が咲くこの時期は、新しいことを考えたり始めたりするには最適の時期ですが、この時期にこそ自分自身の人生のこれまでを振り返り、同時にいつか必ず訪れる人生のエンディングについて考えてみるのにもいい時期であると捉えています。

 この点、自分自身の余命が残りわずかになったときにどのような治療を受けるのかという問題に関心を持つ人が増えているようです。例えば、胃ろうや人工呼吸器を使用してでも可能な限り延命措置を施してほしいのか、それとも過度に延命措置をすることなく自然な最期を迎えることを望むのかという場面に直面したときに、本人の意思が分からない場合において最愛の家族がその選択を迫られるのは、場合によっては家族にとってつらく酷なことを要求されることになってしまう場合があるかもしれません。また、仮に家族が本人の想いを推し量り選択したとしても、あとになって『あのときの選択はあれでよかったのだろうか』と答えの出ることのない自責の念や『やっぱりあのとき違う選択をすればよかった』と後悔の念を感じさせてしまったりすることもあるでしょう。

 確かに、どのような終末期医療を受けるかという問題は自分自身の最期をイメージすることにほかならず、死生観に向かい合う必要が出てくることは言うまでもありません。

 しかし、自分自身の要望があったとしても心の中にしまっておいては誰にも分かりません。きっと分かってくれるだろう、想いを感じ取ってくれるはずだと考えるのはいわゆる願望や思い込みにすぎず、私に言わせれば現実を直視せずに自分自身の要望を伝える責任から逃げているようにしか見えません。
 
 思うに、自分自身の要望を実現するためには、自分が満足できる選択肢を家族や自分を取り巻く周囲の人たちと共に実現できるように『過程(プロセス)』を充実させることが必要であり、そのためには本人の意思が最大限尊重されるとともに、家族や本人を支える周囲の人たちと一定の価値観を共有できるまで十分に時間をかけて話し合うことが求められると考えます。

 そのようにして、『過程(プロセス)』を重視して得られた価値観だからこそ本人はもちろん家族や支える周囲の人たちも尊重して実現に向けて協力できるはずであり、またかりに時間の経過によって本人の要望に変化が生じたとしても価値観を共有している人たちの適切かつ柔軟な対応も得られることでしょう。

 これまで私は、相続・遺言の法律専門職として相続トラブルを未然に防止するために『争わないための遺言書』をご提案し続けてきましたが、これからは残された財産をどう分けるかという相続・遺言の枠組みだけに捉われるのではなく、その人にふさわしい人生のエンディングをいかに準備するかというようにもう少し広い枠組みで捉えることで、この地域の一般の方々の人生のエンディングにおける要望を吸い上げて確実に実現していくための体制を作ることができたらと考えています。地域の医療分野や福祉分野の専門職の方と連携させていただきながら協力体制を築くことができれば、ひとりでも多くの地域の方に対して、毎年桜の花が咲くこの時期に『自分自身のこれまでの人生を振り返りながら、同時にいつか訪れる人生のエンディングについて考える』きっかけをご提供できるのではないかと考えるようになった次第です。

 自分ひとりだけでは実現などできるはずもありませんし、口で言うほど簡単ではないことはよく分かっているつもりです。もちろんうまくいく保証などはどこにもありませんが、とにかくやってみようと思わないことには先に進めません。挑戦のないところに進歩や成長などありえませんから、どこまでできるか分かりませんが私の理念に共感してくれる人のご協力を得ながらやれるところまでやってみたいと考えています。43歳は自分自身への挑戦の年と捉えて、今日から前進し続けていきます。
 
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相続・遺言・高齢者支援に特化した法律専門職 加藤俊光
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