コラム

 公開日: 2011-12-05  最終更新日: 2014-10-16

書けばいい!? 遺言書は書く前の準備と書いた後の保管に注意が必要です!

 朝晩の冷え込みが一段と厳しくなってきたことを実感させられるように、今年もついに残すところ1か月を切りました。今年を振り返ってみると、3月の震災に始まり9月の台風など改めて災害について考えさせられたという方も多かったのではないかと捉えています。

 また、今年は遺言に関心をお持ちになる方も増加しているようです。これまでも高齢者の方で遺言に関信をお持ちになる方はいらっしゃいましたが、今年の夏以降は40代や50代の方からも遺言に関するご相談やお問い合わせがあったこともあり、これもまた震災や災害が少なからず影響しているのかもしれません。

 もっとも、多くの方のご相談に対応していると、相続・遺言のプロとしてとても気がかりなことがあります。それは、多くの方は、とにかく『遺言を書けばいい』と思い込んでおられることです。

 もちろんそれは決して間違いではないのですが、実は遺言は『どのように書くか』あるいは『書いた後どのように保管するか』のほうがはるかに大切なのです。

 確かに、どんな内容の遺言を書くか、それは遺言者の意思が最大限尊重されるべきものです。特に、法的要件を満たしていれば『有効な遺言書』として成立することになります。

 ところが、遺言書があったがためにかえって『相続が争続』になってしまっているケースを時々見かけることがあります。例えば、①相続人のひとりだけがいいとこどりをしてしまう内容になっているものや、②ある相続人だけがまったく蚊帳の外におかれている内容のもの、また③遺言の中で特定の相続人を名指しで非難する内容が書かれていたものがありました。

 思うに、遺言は相続争いを未然に防止して相続財産の速やかな分配を実現するとともに、その後も相続人同士が円満な人間関係を続けられるような配慮をするために書くべきものです。

 とすれば、相続当事者がそれぞれ負担と不満を引き受ける内容になっていることが必要であり、逆に特定の相続人を阻害したり非難したりする内容にすべきではないでしょう。

 また、きちんとした遺言を書いたとしても、相続が開始するのははたしていつのことになるのかは当然ですが誰にもわかりません。せっかく書いた遺言がどこかへ紛れ込んでしまったり書き換えられてしまうことのないようにしっかりと保管をしなければならないのはもちろんですが、実は遺言に書かれた内容を確実に実現するための措置を講じておくことも忘れないでいただきたいのです。遺言の内容を確実に実現するためには、遺言書の保管はもちろん執行手続も相続人のどなたかがおやりになるのは避けて、信頼のおける公平な第三者たる専門家を活用されることをお勧めしています。

 遺言は、ただ書けばいいというものではありません。①争いを未然に防ぐためにはどんな内容で書いたらよいのか、そして②遺言を書いた後は相続が開始するまでどのように保管したらいいのか、さらには③遺言書に書かれた内容を確実に実現するためにはどのような手立てを講じておけばよいのかなど気を付けなければならない点がたくさんあるのです。

 私もすでに遺言を書いています。どのような遺言を書けば『円満な人間関係を壊すことなく相続争いを未然に防ぐことができるか』を身をもって体験しています。相続・遺言の法律専門職としてはもちろんひとりの人間として、あなたにとって最良の遺言を作るにはどうしたらよいか具体的にアドバイスさせていただきたいと考えている所存です。 

 これからも私は、ひとりでも多くの方に『争わないための遺言書』のご提案をし続けていきます。

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相続・遺言・高齢者支援に特化した法律専門職 加藤俊光
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