コラム

2013-04-08

フラグラントガーデン ”香る庭” no.2

<フレグラントガーデン>
芳香性の植物を、お庭に加えませんか?

  4、芳香性の植物(3)

 ツバキ・サザンカ
襟を立て、手袋をして、肩をすぼめて、足早に歩きたくなる寒中に、濃い緑色の葉とは対照的なピンクや赤の花を咲かせるツバキやサザンカを見かけると、思わず、顔を上げてしまう。サザンカなら香りも良い。‘寒いのにありがとう’と声をかけたくなる。
どちらもツバキ科に属する近縁種で、見分けがつき辛いとよく聴かれる、ツバキとサザンカの違いは、葉にある。ツバキの葉はツルッとしているが、サザンカの葉の主脈には両面、短毛がある。ツバキの花には芳香のあるものが稀だが、サザンカの花には芳香がある。
ツバキの葉の縁にはギザギザが無いが、サザンカの葉縁にはギザギザがある。など。
 ツバキで芳香のあるものは少ないが、花弁は一重で小輪、芳香のある“浅香姫(アサカヒメ)”。春風のような優しい香りがする小輪でピンクの花を沢山咲かせる‘春風(シュンプウ)“。などがある。
 サザンカを芳香で選ぶなら、
“オキナワ・ヒメサザンカ(ルチエンシス)”は、沖縄に原生するヒメサザンカで、極小輪、甘い香りがします。椿に香りをつけるため、花粉親として使われていて、多くの香り椿が作られています。
“ヒノツカサ(緋の司)”は、11月上旬に鮮紅色の一重で花径9~10cmの中輪の花をさかせ、花には密が多く、芳香がある。
“ハルサザンカ‘ユールタイド(ユーレタイド)”は、ユールタイドは「クリスマスの季節」という意味。花には強い香りがある。一重咲き・中輪・11~12月咲き。
“ハルサザンカ・ウメガカ(梅ケ香)”は、その名の通りウメの花を思わわせる爽やかな香りを持つ。花は殆ど白に近く、縁に薄いピンクが入る。
“ハルサザンカ・ミノノホマレ(美濃の誉)”・・・咲き始めは抱え咲きでツバキのようにも見える。雄しべもツバキのような「筒しべ」。花には香りがあり、花弁もばらばらに散る。
“サザンカ・旭鶴(アサヒツル)”・・・ジャスミンティのように、ジャスミンの良い香りの中に少し中国茶の香りがのこるような香りがする。
etc。
 ツバキやサザンカというと、チャドクガの被害を思い出したり、苦い経験のある方も多いと思います。小生など、剪定などで伺った際にも、よほど気をつけていないと、ひどい目にあいます。万が一の場合は、ドクダミの葉をさがします。ですが、予防が第一です。比較的簡単で安全な方法は、“オルトラン顆粒“(ホームセンターにもあります)を木の根元に撒き、上から少々土を被せておしまいです。この殺虫剤は、浸透移行性といって、植物の根や葉から薬の成分が吸収され、植物体内を移行する薬剤です。葉自体が殺虫効果を持ち、その葉を加害した害虫を退治するという訳です。毎年、忘れずに行いましょう。

 クチナシ
 梅雨時に、ジャスミンにも似た強い芳香を漂わせ、やや分厚い純白の花びらを開いて、
鬱陶しい季節に幸せな気分にしてくれるのはクチナシの花だ。艶のある濃緑色の葉をもつ常緑の低木です。クチナシは、早春のジンチョウゲ、秋のキンモクセイ、と共に、芳香花木の代表です。花は、咲き始めた頃は純白ですが、序々にクリーム色に変わっていきます。
秋には橙赤色の果実をつけます。この果実は古くから染料や漢方薬として使われます。
一重咲きの花が一般的ですが、園芸種には、八重咲きのヤエクチナシや、矮性で横に広がるコクチナシ、葉が丸みを帯びているマルバクチナシなどがあります。他に、結実はしませんが花が大きな園芸品種でオオヤエクチナシ、花色が白から黄色、オレンジ色と変化するキバナクチナシは一般的な白花種よりも更に芳香が強い。
クチナシの芳香は夜中が最も強いのですが、これは受粉のためのオオスカシバという蛾を呼ぶためです。このオオスカシガの幼虫(大きな青虫のような姿)は、一夜にしてクチナシの葉を食べてしまいます。元気だったクチナシが朝起きたら丸坊主という事もあり、複雑な気持ちになります。
 クチナシの花は、花の咲く頃に伸びた新しい枝に来年の花がさきます。花が終ったら直ぐに剪定するようにしましょう。秋以降の剪定は来年の花つきを悪くしてしまいます。
また、寒さと乾燥は嫌います。日当たりの悪いところでは花つきが悪くなりますが、夏に直射日光の当たるような場所でも土が乾きすぎて生育が悪くなります。半日陰の場所が植え付けるには理想的な場所です。
 例のこのオオスカシガの幼虫の対策ですが、根元に“オルトラン顆粒“を撒いておきましょう。それでも見つけたら、エアスプレイの殺虫材で撃退。摘まんで捕るには勇気が必要です。

 ウツギ
 5~6月頃、白から薄ピンク色の可愛い花を、やさしい香りと共に咲かせるウツギです。
日本全国で昔から観賞用によく栽培されています。暑さ寒さ、日陰に強く、病害虫もあまりつかず、大気汚染にも強く、丈夫で育てやすい木です。洋風庭園でも良く合います。
それだけに、ウツギと呼ばれる品種も多く、花や葉がウツギに似ている異種も沢山あります。 少しだけ、整理しながらのご案内です。
ユキノシタ科(アジサイ科)ウツギ属のウツギ(別名:卯の花)、ヒメウツギ、マルバウツギ、更紗ウツギ(八重種)、等。
 ユキノシタ科(アジサイ科)バイカウツギ属のバイカウツギ、ノリウツギ、バイカウツギ・エトワール、等。
 スイカズラ科・タニウツギ属のニオイウツギ、タニウツギ、ハコネウツギ、ツクバネウツギ、等。
 他にも、フジウツギ科のフジウツギ、やドクウツギ科のドクウツギ、バラ科のコゴメウツギ等がウツギの名をもらっています。
 香りの良い種類として、
バイカウツギ・・・花が梅の花に似ている落葉低木です。5月中旬から6月にかけて、花の重みで枝がしなる程、スノーホワイトの花が咲き、涼やかな芳香が人気です。園芸種では、
花径が5cmほどある大輪で、白花の中心に淡紫色の目が入る美しい品種の“ベルエトワール”。純白で大輪の八重咲き種の“バージナル”。新芽が明るい黄金色で、花もやや大きめな“イエローヒル”。など。
ニオイウツギ・・・ハコネウツギの変種といわれ、伊豆七島の海岸近くに自生する固有種。
3~5m位になる落葉低木で、5~6月頃、咲き初めは白く、徐々にピンク色に染まる。
ハコネウツギよりも花冠は短いが、花に強い芳香がある。

 ボタン・シャクヤク
「立てば芍薬,座れば牡丹,歩く姿は百合の花」。美人の形容としてあまりにも有名です。
ボタンもシャクヤクも、ボタン科・ボタン属に含まれますが、
ボタンは、木本で冬も落葉しますが枝は残ります。横に張った樹形になります。一方、
シャクヤクは、草本で冬は地上部が枯れ、地中で根や芽が冬を越す多年草です。又、真直ぐ上に伸びます。
 ボタンは中国では“百家の王”と呼ばれ、中国の国花になっています。日本には平安時代に伝えられた落葉低木で、高さは2m程まで成長します。4~5月、香りと共にあまりにも濃艶な花は、4~5月に開花しますが一日花です。ボタンは、花の咲く時期によって分けられています。
(春牡丹)は、4~5月に開花する一般的な種類です。
(寒牡丹)は春と秋の2季咲き性のものです。ただ、春開花させると秋の花は少なくなります。通常は、春の蕾を摘み取って秋の11~1月の開花時期に調整します。
(冬牡丹)春牡丹と同じ品種を、温度調節などを施し、1~2月に開花するように調整したものです。
ボタンは耐寒性には強いのですが、高温多湿は苦手です。日当たりの良い場所を好みますが、真夏の暑さに弱く、暖地では真夏の直射日光を避けて、半日陰へと移動させるか、最初から半日陰で管理します。
芳香種では、大輪の一重咲きで芳香のある真紅な花の“アメリカ”。一重で薄いピンクに濃い色の脈目が入る“アヴァン・ギャルド”。半八重で鮮やかなピンク色の花の中心が白を帯びる“ポーラ・フェイ”。小ぶりのコーラルピンクの半八重で外側の花弁に白い筋が入る“ピンク・ハワイアン・コーラル”。etc。
神奈川県立フラワーセンター大船植物園 や 鶴岡八幡宮牡丹庭園は、かなりの充実度です。
日傘や藁帽子を被ったボタンの姿は、何と言いようも無く愛らしい。季節にはお楽しみください。
 シャクヤク
シャクヤクの原産地はチベットからシベリア、朝鮮半島の一部にかけての東アジアが中心で日本には平安時代に渡来しました。高さ約60cm~1m。葉は複葉で、5~6月大形の紅色や白色などのボタンに似た花を開く。
寒さには非常に強いので防寒対策は特に必要ありませんが、日当たりと水はけの良い肥沃な場所選びます。夏の暑さを遮れるような涼しい場所が好ましい。土の温度が極端に上がらないように敷き藁やバークチップなどでマルチングするのも効果的です。花の咲いている時期は、強い風や雨から守ってあげると、花も長持ちします。
又、シャクヤクはウィルスに弱いので、鋏などの金属も消毒してから使うようにすると良い。植え付け、植え替えは9月下旬~10月頃が最適です。花は一番大きな蕾を選んで、咲かせるように他は取り除きます。花後は花がらを早めに摘み取ります。
芳香種では、完全八重で大きなローズピンクの花は外側になるに連れて色が淡くなる“サラ・バーンハート”。紫の筋がある蕾が開くと純白の一重の花になる“ホワイト・ウィングス”。
深紅の外側花弁がクリーム色の縮れた内側花弁を囲み、初夏から盛夏にかけて咲く“ホワ
イト・キャップ”。etc。
神奈川県立フラワーセンター大船植物園の芍薬園には約200種2000株の芍薬があり、ここ大船で品種改良され、八重が多く華やかさが特徴の大船系と呼ばれる品種が多く植えられています。見渡す限りの芍薬です。人は花に埋もれて見えます。5月末から6月には是非とも行かれて見ては如何?

 ブッドレア(別名:バタフライブッシュ、フジウツギ)
真夏に大型の花と芳香を同時に楽しめる。自然風のお庭には欠かせないブッシュ樹形に育つ丈夫な耐寒性半常緑の低木です。7~9月、枝の先端に小さな花を穂状に咲かせ、花にはとても良い芳香があり花色は紅、紫、白、黄色など豊富で夏期が長いのも嬉しい。花には蜜があり蝶や蜂が寄ってくるので、英名はバタフライブッシュ。葉はやや細長く、新芽は短い毛で白っぽく見えます。切花にして、お部屋の天然芳香剤としてもお奨めです。日当たりと水はけの良い場所を好みます。
園芸種では、ややシルバーがかった葉に周辺部に黄緑色の斑が綺麗で、花は青紫色の“ハーレクイン”。白い爽やかな花の“アルバ”。濃い青紫の花の“ブラックナイト”。ソフトなブルーの花で矮性種の“ブルーダイヤモンド”。濃いブルーの花で矮性種の“アドニスブルー”etc。

セイヨウニンジンボク(西洋人参木、別名:イタリアニンジンボク、チェストツリー)
 地中海が原産の落葉樹です。夏(7~9月)に涼しげな淡紫色の花穂を枝先いっぱいにつける人気の花木です。比較的、枝の広がりが大きいので、十分なスペースを確保して、自由に伸ばすと花いっぱいの姿が楽しめる。寄せ植えにも向く。この木は株全体に香気があり、日本には明治中期に渡来しました。
南ヨーロッパでは昔からいろいろと謂われのある身近な植物です。この木で作った杖を使うと旅人を守ってくれると言われており、南ヨーロッパの巡礼者が用いました。また、乾燥した果実は、薬用にしたり、コショウの代用に用いられたこともありました。現在では、健康食品やハーブティーに利用され、世界各地で栽培されています。日当たりから半日陰の場所と水はけの良い場所を好みます。耐寒性も-5℃くらいなら戸外で越冬できます。また、耐暑性があるので夏の暑さ、乾燥にも強いとされています。
青紫系の花色以外に、白花種もあります。

 チェリーローレル(西洋バクチノ木)
 春に、高い芳香のある多数の小さな白花を穂状に咲かせるバラ科・桜属の常緑低木です。
軟らかで光沢のある、やや大きめな葉を密集させます。比較的耐寒性もあり、関東以南なら問題ありません。
 園芸種の“チェリーローレル・マノ”は、濃緑葉の常緑種。開花は5月頃で、白い花穂をたくさん立ち上げます。“チェリーローレル・オットライケン”は、開花は4月頃、1m~1,5m位で、白花タイプ。

ライラック
フランス語では、“リラ”。モクセイ科・ハシドイ属の落葉低木です。春を告げるパリの花である。薄紫の花が一般的だが、白花の種の方が早咲きでしかも芳香も強い。開花は4~5月で,香りは、ドイツスズランにも似た甘い香りで、冷涼な地域の庭園木として使われる。日本では北海道で公園や街路樹としても一般的に見かけることが出来る。耐寒性があり、関東では特に防寒の必要はありません。ただし夏の暑さに弱いために、西日が強く当たる場所や真夏に直射日光が当たる場所は苦手です。ふつう花冠の先は、4つに裂けていますが、ときどき5つに裂けているものがあります。これは「ラッキーライラック」と呼ばれ、恋のおまじないに使われます。
花木としての人気が高いが、暑さのため、樹盛が‘いまひとつ’ということが多い。

 アセノサス(カルフォルニア・ライラック)
 リラックに似た花を咲かせることから、“カリフォルニアライラック”の名をもつ低木がある。クロウメモドキ科セアノサス属の耐寒性落葉低木で、ライラックとは異種だ。“アセノサス”というのが本名だ。
春から初夏にかけて、ライラックに似た美しい青紫の花穂をつけます。寒さにはやや弱いが-5℃程度であれば冬越しします。南関東以南では屋外で冬越しします。
日当たりと水はけのよい場所が適地で、やや乾燥した土を好みます。暑さには比較的強いです。
“パシフィックブルー”は、濃い青色の印象的な花で、樹形は直立し枝は優雅な曲線を描きます。
“プーケットブルー”は、樹高50~100㎝ほどのコンパクトな品種で、青花。
“ベルサイユ”は、薄青紫の花で、コンパクトに育ちます。
“エルドラド”は、初めは黄覆輪で次白覆輪に変わる斑入り葉。花は青です
“マリーサイモン”は、珍しいサーモンピンクの花で、樹高は1~1.5mほど。
etc。  ライラックよりも育て易く、香りも良いので如何ですか?

ニオイエニシダ(スパニッシュブーム、レダマ)
5~7月に、エニシダに似た黄色い蝶形の花が清々しい。細い茎が早く成長し、葉は殆どない。房咲きの黄色い花は柑橘類の花に似た甘い香りを強く放ち、花部から香水に使う精油が採れる。現在、フランスをはじめ、イタリアやスペインにおいても産地となっています。次々と花が咲き、開花期が長く、香りの花束やポプリに使う。しなやかな枝は箒や籠の材料にも使われる。大気汚染にも強く、海岸近くでも耐潮性を発揮する。
一般的にエニシダと呼ばれているブルームやジェネと呼ばれるものとは異種です。

白花レンギョウ(別名:匂いウチワの木、アベリオヒィルムデステクム)
原産地は朝鮮半島で、大正時代に発見されたモクセイ科の落葉低木です。
3~4月、ジンチョウゲのような香りの白花が、枝を覆うほどびっしりと咲きます。
強健で寒さ暑さに強く、土質も選ばず剪定も自在。樹高:2~3m。雌雄異株。
葉に先立って花が咲くが、蕾のうちは濃い桃色で、開花後は白く、淡い桃色を帯びるものもある。花の後にできる実は扁平で、熟すると下部が裂け、種子が散布される。この形が団扇に似ているというのが名前(ウチワの木)の由来である。




<フレグラントガーデン>
芳香性の植物を、お庭に加えませんか?
  5、芳香性の植物(4)

ビバーナム・スノーボール
スイカズラ科の落葉樹ですが、3~5月、目に鮮やかな葉っぱと白く美しいボール状の花を咲かせます。咲き始めは薄グリーンですが、徐々に白い花に変化していきます。
耐寒性ですが、秋になると紅葉して落葉します。
アジサイと同じで花が咲いてしばらくすると翌年の花芽をつけるため、剪定は花が終わった直後です。ビバーナム・スノーボールは一旦植えてしまえば手間のかからない木ですが、半日陰の場所が適しています。成長も早く花も咲きやすいです。水は好む。

チョウジガマズミ
小さくて、白から淡紫桃色の花が散房状に咲き、芳香があります。枝は密で新梢の先端に花が咲くので株全体が花いっぱいになり見応えがあります。寒さ、暑さに強く、高さは1~2mの落葉低木で、株立ち状になりますから、庭植えでも栽培できますが、コンパクトなので大きめの鉢植えでも充分育てることができます。秋に熟する赤い実も美しい。性質は強健。繁殖は挿し木。枝端に花芽を持つので、花後以外は刈り込まない。アジサイに準ずる。
花は色といい、香りといい、形といい、整っていて、庭木として人気があります。
近縁種の“オオチョウジガマズミ”は、人気のある種類で、長崎県や韓国に分布している小型の落葉種。花は甘く強く香る。蕾はピンク色で、開花すると白色に変化する。

ティーツリー(メラレウカ)
 一般にティーツリー(Tea Tree)という英名が知られていますが、別名:“メラレウカ”。
ティーツリーといえば、香りが良く精油をアロマセラピーなどで使われるのでご存知の方も多いと思いますが、植木としては未だあまり見かけません。
オーストラリア原産の常緑樹で、原住民のアボリジニは、昔からのこの葉を薬用として用いたと言われ、この植物の近縁種をティーツリーと呼びます。
メラレウカ‘メディカルティーツリー’は清涼感のある香りと殺菌力な強さが特徴。
メラレウカ‘レモンティーツリー’は柑橘系の香りがとても強い。
メラレウカ‘ブラックティーツリー’は樹全体に香りがあり、成長は早い。
レラレウカ‘スノーインサマー’雪を被ったように白花咲かせ、蜜のような香りが良い。
メラレウカ‘タイムハニーマータル’はタイムに負けないぐらい爽やかな香りがある。
etc。 
風にそよぐ爽やかな細葉も美しく、香りを漂わせるティーツリー。美しい庭木として、今、再確認されています。葉先が燃えるようなブロンズレッドに色づく品種の‘メラレウカ・レッドジェム’。年間を通して鮮やかなライムグリーンの葉を楽しませてくれる‘メラレウカ・レボリューションゴールド’。などもお奨めです。

マートルミルテ(別名:ギンバイカ、銀梅花、祝いの木)
 地中海沿岸が原産地の常緑低木で、艶のある葉と、梅の花にも似た白花が美しく、葉と花ともに、甘さとフローラルな香りが漂い、‘マートル’の名でハーブでもお馴染みだ。
花は、細い雄しべを沢山伸ばしたやわらかい印象の清楚で可愛い白花だ。葉を揉むとよく香る。香水の原料としても使われる。葉はハーブとして、肉料理の臭み消しや香り付けとして使われる。秋に黒く熟す果実も芳香と甘みがある。果実は完熟したものを乾燥して細かく砕き肉料理などにスパイスとして使う。
 花は咲いている期間が短いが、その清楚な美しさが余計に印象深い。花の無い時期も、
皮質で艶のある葉が、少し濃い目のグリーンがとても美しく、つい、一葉を摘まんで香りを楽しんでしまう。
 ヨーロッパでは、結婚式の飾りとして、花嫁のブーケとして使われ、祝いの木として、
贈り物にも喜ばれている。
 丈夫で、美しく、香りの良い、マートルミルテを是非、お庭に一本。

レモンマートル
オーストラリア原産の常緑低木(自生地では10mとも20mにも育つそうです)ですが、耐寒性は-1℃とも。暑さには滅法強く、+40℃にも対応できる。と言われていますが、我が家(神奈川県茅ヶ崎市)では、鉢植えで外に出しっ放しでも大丈夫です。今年は、2度、3度と、少し雪を被りましたが、損傷なし。
苗木は難しいかも知れませんが、50~60cmに育ったものなら問題ないと思っています。
葉は肉厚で艶があり常緑で、花は初夏に咲きはじめ、満開時には白いクリーム色の花で木全体が覆われる程だ。 レモンよりもレモンの香りが強いと言われるほど、世界中のどの植物よりも‘シトラール’(柑橘系の芳香成分)の含有量が多いそうです。シトラール成分はレモンの20倍もある。しかも香りには青臭さが少なく爽やかなレモンのような香りが嬉しい。
原産地・オーストラリア原産でアボリジニーも薬用・料理と利用しています。その精油には抗菌性があり、濃い精油では人間の肌にも毒となりますが、薄めれば免疫障害などの改善効果があります。石鹸、ローション、シャンプーなどに利用されています。
また、葉を生や乾燥させてハーブティに。浴槽に入れてもリラクゼーション効果が期待される。 ハーブティーのために‘レモングラス’を植えるぐらいなら、‘レモンマートル’をお奨めします。とても便利で、寒さにさえ気を遣ってやれば、育てやすいので、是非一本如何ですか?

レモンバーベナ(別名:香水木、防臭木、リッピア)
アルゼンチン、チリ原産で、クマツヅラ科イワダレソウ属の落葉低木です。
17世紀にスペインによってヨーロッパにもたらされ、18世紀からイギリスのハーブガーデンに植えられ始めハーブティーとしてヨーロッパ大陸でひろく愛飲された。葉にレモンとシナモンの芳香があり、ハーブティーの女王と呼ばれる人気のハーブです。収穫するときは、若葉のほうが香りが良い。
関東では落葉しながら越冬し、春に芽吹きます。2年目から木質化し、草丈1~2mにもなります。夏から秋に、薄紫あるいは白い花が沢山咲きます。
葉に軽く触れただけで、レモンに似たすがすがしい香りが立ちこめる。乾燥しても香りが長もちするため、ポプリや匂い袋などによく使われ、手紙に葉を添えて送るなど、お洒落な使い方もある。他にも、使い方は多様で、春から初秋までは、フレッシュでお茶を入れると、爽やかなレモン風味を味わえます。フレッシュは、サラダ、マリネ、ドレッシング、料理のソース。ケーキ、アイスクリームの香りづけに、ドライは、ティーはもちろん、ポプリ、枕、入浴剤、香料として利用できます。レモンバーベナは、消化促進、強壮、神経の緩和の、効用があるといわれてます。また芳香リキュールにも使用され、ディナーのフィンガーボール水に、レモンの香りをつけるために使用する。
日本では、明治の末にコレラが流行した時には‘防臭木’とも呼ばれたこのハーブがコレラ除けとして尊ばれたそうです。
葉は明るい緑色で、葉の先がとがった細長い形が特徴で表面がざらざらしています。節の所から日光を充分受けられるように、上と下の葉が重ならないように3枚葉が出ます。これを輪生(りんせい)といいます。花は先端の方に、6月~8月ごろ白色或いは淡紫色の小さな花を円錐形の穂状にして咲かせます。
落葉樹ですが、桜の花が終る頃に一斉に芽吹き出し、初夏の生長は、すさまじいハーブです。季節の移り変わりをこれほどまでに正直な姿は、自然をお庭の中で感じるには持って来いの植物ですし、なんといっても利用価値の多いことが魅力です。是非、是非、一株植えてください。

トベラ
トベラはトベラ科の常緑低木で、岩手県以南の各地の沿海側で自生します。葉は互生し、長い倒卵形をしており、乾くと裏側に巻き込む特性を持っています。雌雄異株で、独特の臭気があり、燃やすと悪臭がするといいます。5~6月ごろに白い五弁の花を咲かせ、
11月に3裂の真っ赤な種子を実らせます。
トベラは実や木の皮、幹、揉んだ葉などから悪臭を放つが、白い花には芳香がある。
魔除けとして、玄関の扉に飾ったりしたことから、トベラの名が付いたそうです。

ハクチョウゲ
中国、台湾が原産地のアカネ科の常緑低木で、高さは60cmほどで、葉は小形で独特の臭いがあり、5月~6月ごろに白ないしは淡紫色の小さな花を咲かせます。樹勢が極めて強く、刈り込みにもよく耐えるので庭木や庭石の根締めなどによく用いられます。花は四季咲き性で、冬期は一時休みますが、他の季節はずっと花が見られます。ハクチョウゲの紫がかった白い小花が満開になるのは、初夏の6月ごろで、樹木一面が花で覆われます。
園芸種に、斑入りのものや、ピンク色の花や、薄紫の花を咲かせるものがある。

ルクリア(アリッサム・ニオイザクラ)
インド・アッサム地方が原産で、強い芳香を有することに由来しているアカネ科ルクリア属の常緑性低木。花が桜の花びらに似た肉厚目の花びらが可愛らしい事から、ニオイザクラという名前がついています。一番の特徴は花の香りで、とても良い香りがします。淡いピンク色の花を房状に咲かせる花の開花期間は10~1月で、開花後1~3週間前後持ちます。越冬温度は3~5℃以上必要で、日の長さ短くなると花芽を付ける短日植物です。日本の夏の高温多湿が苦手です。春~秋にかけては直射日光を避けた、できるだけ風通しの良い場所に置きます。秋も中秋頃になると気候も和らぐので、できるだけ日によくあててしっかりした株に育てます。耐寒性は多少ありますが霜には耐えられず、冬越しには3℃~5℃程度の気温が必要です。開花以降の水やりは、栽培環境にもよりますが、サボテン並みに控えます。ルクリア・スイートルビーは、中でも一番花色の濃い品種です。

ミモザ(アカシア、ワトル)
2月も末になると、ミモザの花が樹全体を黄色く染めるのが待ち遠しくなる。黄色のフワフワとした球状の小さな花が、香りと共に、春の訪れを知らせる。常緑の木なので、葉の緑色と花の鮮黄色の対比が、とても美しい。園芸界では、英名のミモザの名で呼ばれることが多いが、文学の世界では、学名のアカシアの名が使われることが多い。オーストラリアでは、ワトルの名が使われる。
世界には1000種類もあるといわれるミモザ。多くはオーストラリア原産で、残りはアフリカに分布するものが多い。マメ科・アカシア属の常緑高木で樹形や大きさも様々ある。
成長が早いので、剪定が不可欠となる。台風で折れたり、裂けたりと、折角大きくなったミモザを残念がられるケースも多い。花後、少なくとも夏前には剪定をしておきたい。
原産地オーストラリアの国花になっているのは、‘アカシア・ゴールデンワトル’。半枝垂れの枝に、総状花序の、50~60花を枝もたわわにつけ、甘い香りを漂わせます。
‘フササギアカシア’とは、フランスでミモザと呼ばれているのはこの種類。4月中旬からかすかにカラメルの香りを秘めた甘く香る花が夢のように咲く。
‘フサアカシア’は、早春に濃黄色で香りの良い花が、約30花が集まり、更に総状花序となります。日本では、太平洋岸の暖地で、高さ10m以上にもなります。
‘ギンヨウアカシア・プルプレア’は、新梢の葉は紫色でとても印象的だ。
‘スノーウィーリバー・アカシア’は、アカシアとしてはコンパクトな種類で、葉も小さく細葉のタイプです。鮮やかな黄色の花房をいっぱい咲かせます。
‘パールアカシア’は、真珠色の葉色とビロードのような葉の質感から名前がイメージされるアカシアです。花も大きく甘い香りがする可愛い品種。日本の庭でも育てやすい小型品種で、ブッシュ状の樹形となります。ユーカリの様に見える姿かたちも独特です。
‘ニセアカシア’(別名:ハリエンジュ)は、アカシアの蜂蜜として販売されているのはこの種類で、北米原産の落葉高木。初夏に白花で花径は約2cmの蝶形花を咲かせる。フジの花に似た強い芳香がある。ニセアカイアはマメ科のハリエンジュ属に分類され、他のアカシア属のものとは種類を異とする。
etc。
 世界中で愛され、日本でも度々、歌に歌われるアカシア。西田佐知子の‘アカシアの雨がやむとき’。テレサテンの‘アカシアの夢’。三田明の‘アカシアは咲いた’。ジュディオングの‘アカシア慕情’。持田香織の‘アカシア’。レミオロメンの‘アカシア’。etc。多数。
種類が多いので、スペースと相談して種類を選び、是非植えたい花木だ。

 ユーカリ
 コアラでお馴染みのユーカリは、ティーツリーと同様、オーストラリアの原住民アボリジニの人々が万能薬として利用してきました。アボリジニの人々はユーカリを「キノ」と呼び、古くから傷のまわりをユーカリの葉で巻いて傷の手当をしたり、高熱や伝染病の治療に使用していたと言われています。
 フトモモ科・ユーカリノキ属で、オーストラリアには約600種類以上のユーカリが分布しています。レモンユーカリのように芳香のある葉を入浴剤やポプリなどのハーブ的な利用をするものと、ギンマルバユーカリのような銀白色の美しい葉を鑑賞するものの2タイプが主に普及しています。生長が早く品種によっては50mを越す大木になります。
 ユーカリの林には下草や潅木が殆ど生えないことをご存知だろうか。これは、ユーカリの葉から他の植物の発芽・成長を抑制し他の植物の浸入を阻止する抽出成分を大気中に放出し、地上に蓄積・濃縮されるが、自分だけは、ゆうゆうと繁殖していく。ユーカリの他、赤松やセイタカアワダチソウ、ヒガンバナ、などがあり、自分のテリトリーを確保しようとする植物の知恵だ。このような作用をアレロパシーという。
 ハーブユーカリとしては、
 ‘レモンユーカリ’は、60mにもなる高木で成長も早い。葉や若枝には柑橘系の強い香りがあり、ポプリ等に乾燥した葉を使います。また、少量の葉を他のレモン系のハーブ(レモンバーム、レモングラス等)とあわせてハーブティーにすることもあります。
 ‘グロブルス・ユーカリ’は、クリアーでシャープな香り。ローズマリーにも似ています。
日本には古くからあるポピュラーな品種です。樹高もかなり高くなり50メートルを超えます。夏期に、細い管状の花弁が多数集まって球形になった、花径2cm位の白いかわいい花を咲かせます。一般に、ユーカリの精油として売られているのはこの品種が多い。
‘ビミナリス・ユーカリ’は、90mを超えるユーカリ中でも屈指の巨木となりますが、甘みのある軽やかな香りで、精油は高価です。トロピカルフルーツのような甘くフルーティーな香りが強く香り、その後に強くシネオールの香りがスッと感じられます。少し香っただけで、気分がウキウキ爽快になれます。
etc。
レモンユーカリなどは、お庭に植えたいと、ご希望されますが、‘よく考えてからにされては?’とお答えします。香りはあまりありませんが、ハート形の葉と秋に咲くクリーム色の花の綺麗な‘ハートリーフユーカリ’は如何でしょう。マチュアーサイズが6~7m位の常緑低木です。或いはユーカリではありませんが、似たイメージの‘パールアカシア’では?



<フレグラントガーデン>
芳香性の植物を、お庭に加えませんか?

  6、芳香性の植物(5)

 エンジュ
エンジュは、森林植物のマメ科・エンジュ(クララ)属に属する落葉高木で20mぐらいに成長する。7月から8月、薄黄色の花が開花したときには、この木にこんな花が、と思うほど美しい。甘い香りの淡黄色の蝶のような花を無数につけ、散り敷いた落花の様も美しい。蜂などの重要な蜜源植物となっている。
エンジュは中国原産で、日本へは仏教の伝来とともにやってきたと言わています。
漢字では、木辺に鬼で、槐(えんじゅ)と書きます。昔、お面などを槐の木で彫刻し、家の鬼門に置いたりしました。槐(えんじゅ)の木は延寿(長生き)縁授(縁を授かる)などの漢字を使って表すこともあり、大変縁起の良い木で、魔よけの木、幸せの木として親しまれています。この木を細工して身に付ける事で災難から守ってくれます。「幸福を呼ぶ木」ともいわれ、今も縁起木として庭や街路によく植えられています。耐潮にも優れている。花後にできる果実は莢が中のタネごとにくびれており、数珠つなぎのような姿がおもしろく、秋に熟すと表面が光沢のある飴色になります。秋~冬に油脂の多い実を落として、庭や道路を汚すので注意しましょう。
 ご新築や記念日に縁起の良い木として、植えてください。姿も美しく、日陰を作る木としても最適です。

ロウバイ
 12月から2月の寒中の寂しい庭に、分厚く蝋のような質感の透き通った黄色の花を凛として、枝いっぱいに咲かせる。花は、非常によい芳香を放ちます。中国原産の落葉樹で、江戸時代の初期に、日本に入ってきたといわれています。学名のキモナンサスはギリシア語で「冬の花」を意味し、英名は‘ウィンタースイート’と言います。他の花木に先駆けて咲く香りのよい花が愛され、生け花や茶花、庭木として利用されてきました。
 ロウバイはその年にのびた枝に花芽を付けます。しかし、勢いよく伸びた枝や、間延びした長い枝にはほとんど花芽を付けずに、枝や幹の基部に付く短い枝に花芽を付ける性質があります。ですから長くのびた枝は落葉直後か、花後につけ根から20cmほど残して、短く切りつめます。
 ロウバイの花は内側の花弁が茶褐色ですが、一般に出回っているのは、ソシンロウバイ(素芯蝋梅)やその園芸品種で、すべての花弁が黄色でより明るい印象だ。ロウバイの変種で、花はやや大型で、香りがより強い。
 中国原産のロウバイに対して、北米南東部原産のクロバナロウバイ(ニオイロウバイ)がある。黒花ロウバイは、暗紅紫色の花色で花や枝に甘い芳香があり、新枝や葉の裏面に短い軟毛が密生している。開花時期は5月だ。色も形も特異なこの花はフルーティな香り(イチゴの実)があり、葉や樹皮にも芳香がある。秋の紅葉が美しい。樹高は1mほどにしかならず、多数の枝を出して茂る。
 冬の庭に、ロウバイを。カラフルになりかけた5月に、何とも渋い黒花ロウバイを。

キリ
 5月~6月、かなり高いところで枝先に、円錐状の淡紫色の花を多数つけ、ほんのりとした甘い香りが良い。長さ8cmくらいの合弁花で、花は紫色で、元のほうは白色です。花弁の内側には濃い紫色の斑点があります。咲いている花の香りを直接嗅ぐことは難しいが、落花した花の香りを嗅いでも、これでも終花時の香りかと思うほどの香りがする。蜂蜜にも利用されていたらしい。見つけたら、是非とも試食したいものだ。
 キリは、ゴマノハグサ科キリ属の落葉高木で、樹高は10mほどになる。成長の早い木で、葉は日本の樹木の中で一番大きいとされる。
 キリというと、タンスなどの家具や下駄、お琴の胴、などに使われますが、乾燥した材料は多孔質で、非常に軽く、磨耗に強く、湿気などを透さず、燃えにくく、腐りにくい性質がある上、加工が容易で美しい。昔は、女児が生まれると、桐の木を数本植え、お嫁入りの際に、その材料でタンスを作って持たせたという。ただ、なぜか、キリを家具に使うのは日本だけだと聞いたことがある。
 中国原産とも言われているキリは、霊鳥である鳳凰の止まり木として神聖視されていて、
日本でも、嵯峨天皇の頃から、天皇の衣類の刺繍や染め抜きに用いられるなど、菊紋章に次ぐ格式のある紋とされた。豊臣政府や徳川幕府では小判などに刻印されていた。現在は、ピザやパスポート(顔写真の上に)、500円硬化にもデザインされたり、菊紋と共に賞杯や、官邸の備品や、総理の演台に取付けられるプレートに使われている。
 この格調高いキリの花は、5月に開花するのだが、なんと、約9ケ月も前に蕾が出来て、
秋・冬・春をやり過ごして新緑時に花開く。なんと準備の良い花木だろうか?小生とはあまりにも性格が異なるらしい。


 マグノリア
 マグノリア( Magnolia )はモクレン、コブシ、タイサンボクなどを含む モクレン科・モクレン属の総称で、地球上で最古の花木といわれており、1億年以上も前からすでに今のような姿であったらしい。公園や街路樹としても、また庭園樹としても人気の落葉樹です。他にも、B'zの歌‘Magnolia’。Naked apeの少女漫画‘Magnolia’。トムクルーズ、ジュリアン・ムーアの映画‘Magnolia’。ジュリア・ロバーツ、サリー・フィールド、ドリー・パートン、シャーリー・マクレーン、ダリル・ハンナなど豪華キャストの映画‘マグノリアの花たち’。宇宙に目を向ければ、小惑星帯には‘Magnolia’という名前の小惑星がある。
 マグノリアの仲間達の中で、最も知られているのは‘紫モクレン’だろう。ただ、この紫モクレンには殆ど香りがない。紫モクレンに先立って、白モクレンが咲き始める。
 ハクモクレン(Magnolia stellata Maxim var.)
 3月中旬には、裸の枝に真っ白で大きな花を咲かせる。満開の時は木全体が白く輝いて見えるほど多くの花が咲く。高雅な花にふさわしい爽やかな香気がある。このハクモクレンが咲き始めると、本格的な春の到来を感じる。遅れること2週間ほどすると、香りは殆どないが、紫モクレンが咲き始める。どちらも中国原産ですが、ハクモクレンは、裏表が白色の花弁が日中は開き、夕方になると閉じます。樹高は15mにもなります。一方、紫モクレンの花は外側が紫、内側が白色で何時も半開きです。樹高は4~5mにしかなりません。
どちらも、世界中で、花木の女王として愛されています。
コブシ(Magnolia praecocissima)
 千昌男の‘北国の春’があまりにも印象深い落葉高木です。放任すると、20mぐらいに成長します。花は白色で、ハクモクレンよりもやや小型です。開花時は花の下に小さな葉を出します。日本各地の野山を白い花で彩るコブシは、桜とともに春の訪れを告げる花木です。ヤマザクラと同じく、コブシもタネまきや田植えの時期を知らせる花として、古くから農耕と密接な関係がありました。コブシは、モクレン科の他の木の台木として使われるほど、強健で樹勢が強く、日当たりさえ良ければ、よく育ちます。神奈川県でも、見事な大木が、樹全体を真っ白にするほどの花を咲かせるコブシを見かけますが、夏場はしっかり水遣りをしてあげましょう。
 つい、鼻歌が出てしまいます。‘コブシ咲く~~~^^’。

シデコブシ(Magnolia tomentosa)
別名、ヒメコブシ、スターマグノリア。日本の固有種で、野生の純粋種は、岐阜県や愛知県の一部にしか自生していない貴重種です。コブシに比べて成長が遅く、庭木に適しています。桜とほぼ同じ頃、木いっぱいに花を咲かせ、夏は涼しい葉陰を作ります。一重咲きや八重咲きとさまざまです。花色は白からピンクを帯びるものも有ります。花は直径7~10cm。花弁は細長く少し捻れていて、12~18枚ぐらいあり、個体差が大きい。満開の時期は壮観で、しかも、愛らしい。花に芳香があります。
樹形は、株立ち状に育ち、マチュアサイズは5mぐらいですが、コンテナでコンパクトに育てれば、1~2m位でも開花します。
 市川宏利著の‘「シデコブシ先生の植物日記」太古の花がひらいた第二の人生’という本があります。元校長先生の筆者が絶滅の危機に瀕したシデコブシを愛し、守ろうとする自伝です。小生は、この本を読んで、シデコブシが益々好きになりました。
 野生の樹は、絶滅危惧種ですので流通しませんが、園芸種は流通しています。是非、お庭のシンボルツリーとして如何ですか?
「昨年植えてもらったシデコブシが、咲き始めましたよ。素敵です。」と、今日、お客様からメールが届きました。嬉しい便りをいただいて、小生も数日間は機嫌が良いでしょう。ニコニコ。

ヒメシデコブシ(Magnolia stellata Maxim var)
シデコブシの変種で、花はシデコブシよりも小さく、花弁の外側が淡紅色あるいは淡紅紫色をし、芳香があります。品種のロイヤルスターは、白花の八重咲きで、ヒメコブシよりも開花時期(3月末~4月)が遅いので、晩霜で花を傷めることが少なく、よく開花します。
 
オオヤマレンゲ(Magnolia sieboldii)
別名、ミヤマレンゲ。日本原産の落葉潅木で、森の貴婦人と言われ、蕾も花も何とも気品を感じます。5月下旬から6月上旬にかけて、白い大きな香りの良い花をつけ、魅力的です。うつむき加減に咲くところに落ち着いた趣があり、茶花などにもよく使われる。蕾の頃は真っ白な卵のよう。初夏の頃、直径5~10センチの清らかな白い花を付けることから、「天女の花」とも呼ばれるほどの、優雅で美しい花が咲きます。光沢のある葉も綺麗で、花の香りも魅力です。湿った土質を好みます。
 現在、日本で主に流通しているのは、1~3m位に成長する中国原産の‘オオバオオヤマレンゲ(大葉オオヤマレンゲ)という種類だ。オオバオオヤマレンゲの方が葉も少し大きく、樹形も大きく、雄しべは濃赤褐色なのに比べて、オオヤマレンゲの雄しべは白地に紅色がさす程度だ。
 自然のオオヤマレンゲを鑑賞するためのツアーもあるらしく、それだけ人気のある花で通常はあまり観ることのできない花のようです。調べてみると、徳島県のレッドデータブックで絶滅危惧Ⅱ類に指定されているオオヤマレンゲが、那賀町と美馬市の境にある樫戸丸(1566メートル)の山頂付近でかれんな純白の花を咲かせているそうだ。十数本が自生していて、登山客の目を楽しませているらしい。天然のオオヤマレンゲに会いに、機会があれば参加したいものだ。

ホオノキ(Magnolia obovata)
 牛肉のホオバ焼き。大きな葉の上に味噌と共に牛肉を乗せて焼いて食べる。あの大きな葉の主がホオ(朴)の木だ。葉は大きいものだと30cmから40cmもあり、分厚い。葉の裏には細かい毛が生えている。花も大きく、花径は10cmから20cmもある。樹高木は、山などには高さ30mにもなるという。淡クリーム色の花は香りも良い。枝先に直径15cm前後で芳香のある白く大きな花を上向きに咲かせ、とても香りが強く、甘い芳香があたり一面に漂う。
 先日、町田市の公園で落葉したホウノキの葉を見つけた。上を見上げると、巨大な灰白色の樹が真直ぐに伸び、裸の枝をさらしていた。覚えておいて季節になったら、花の香りを楽しみにまた来よう。しかし、上向きの花を、下から花が見えるかどうかが今から心配だ。
乾燥させた木材は、比重0.48 と軽く、柔らかく、工作し易い。彫刻材、漆器素地、版木、製図板、定木材、刃物鞘、下駄の歯(朴歯の下駄)などが良く知られる。その他、器具材、建築用の装飾材、箱材、楽器材、家具材などに使われるほか、その炭も重要で、軟らかな上に均質なため、金銀器や細工物の研磨用に重用される。

オガタマノキ(トキワコブシ)(Michelia compressa Maaxim)
別名:トキワコブシ、トウオガタマ、バナナノキ、バナナツリー。
中国原産の神霊を招くため神前に供える木として使われます。神聖な樹木で、神事に使用されるためお寺や庭園などによく植えられています。神霊を招きよせるという意味があります。日本に自生するモクレン科の中では唯一の常緑樹です。葉は皮質で厚いです。花は数センチ程度の白い花が咲きます。花からは甘いバナナのような香りが漂います。樹齢は長く、巨木になっている固体も多々あります。様々な園芸品種が作られて人気があります。
近縁種の‘カラタネオガタマ’は花の芳香が強い品種で、バナナの香りがします。ほかのオガタマに比べて大きくなりにくく場所をとりません。庭園樹としても扱いやすく、人気があります。4~6月に、黄白色の花の咲くカラタネオガタマには香りがない。

タイサンボク(Magnolia grandiflora)
 種類の多いマグノリアの中でも、最後に開花するのが、タイサンボクです。6月から7月に、大輪で純白の香りの良い花を上向きに咲かせます。花弁は肉厚で丸みをもった盃形となり雄大で大変美しい。分厚い葉は、表面が滑らかで艶があり、裏は鉄錆のような色です。常緑で、存在感のある樹はお庭のシンボルツリーにも。
また、煙害にも強く、街路樹としても。葉や幹に水分をたっぷりと含んでいるので、火事にも強く、防火樹としても有効です。日当たりを好みますが、乾燥は苦手です。

トキワレンゲ(夜香木蘭)(Magnolia coco)
別名:ココマグノリア、シラタマモクレン。中国原産の常緑低木で、成長が極めて遅い。
6~7月と9~10月の2回咲く。山地に自生する常緑低木で、枝先から短い柄を側方に湾曲させて1花つけます。花は夜によく開き、香りも良い。台湾では"夜合”とも。丸い清楚な白花からバナナに似た香りを放つ花は、新芽に必ず付くといわれる。株が小さいうちからでも、よく咲きます。花径4cmほどの丸い花で、モクレン科の花木にしては、やや小さい花です。一度に咲くということはなく、3月~11月ごろまで、少しずつ咲きます。
2mほどにはなるようですが、成長がゆっくりしていますので鉢植えにも向いています。

センダン(栴檀)古名:アウチ(樗)
センダン科・センダン属の落葉高木で、雌雄同株。高さ10m、大きいものでは20m以上、直径1mになる。樹冠は大きな傘状になる。本州(伊豆半島以西)・四国・九州・沖縄の海岸近くに生える落葉高木で庭木や街路樹などにもよく見られる。5~6月に咲く花は、淡紫色で、萼片5枚、花弁5枚、紫色の雄しべが10本あり、香りがとても良い。甘い香りと云うだけでなく沈丁花のような清楚な香りが混じっていて、ふくよかな貴婦人を連想させる香りである。葉は互生し、奇数羽状複葉で、小葉は卵形をしています。鈍い鋸歯があります。果実は淡黄色をした長楕円形の核果で、5~6室に分かれた各室に1個の種子があります。落葉した後も無数の珠を連ねたような果実が残ります。果実は生薬として整腸、鎮痛薬に用いますが、民間療法では、摂取量などが不適切で、中毒事故の事例もあります。有毒成分が含まれていて、子供の場合6~8個の摂取が致死量となります。何故か、野鳥のヒヨドリは平気な顔をして食べている。
“センダンは双葉より芳(かんば)し”という諺があります。“大成する者は、幼いときから人並み外れてすぐれていることのたとえ。”として有名です。この諺に使われているセンダンとは、本当は、香木の‘白檀(ビャクダン)’のことです。ビャクダンは、インドや、インドネシアに自生する木です。熱帯性なので、日本では育ちません。ビャクダンは木部にとても良い香りがあり、仏具や、扇子に使われます。一方、センダンは、木部には香りがありませんが、淡紫色の花にはとても良い芳香があります。センダンとビャクダンは遠縁です。理由は、わかりませんが、混同されてしまったようです。

ニオイトサミズキ(別名:シナミズキ)
マンサク科・トサミズキ属の中国西南部原産の落葉樹です。花付が良く、3月中旬~4月中旬に、トサミズキ同様の黄色の花が7~10個ぐらい、房状に垂れ下がるように咲きます。雄しべがオレンジ色になってくると、ちょっとバニラっぽい香りはジンチョウゲをしのぐ。トサミズキやヒュウガミズキは、ミズキ科ではなくマンサク科ですので、花の時期は早く、3月下旬で、葉が出る前に咲くのでとても目立ち綺麗です。花びらは斜め下向きに付き、広がらない。耐寒性落葉低木で、秋の紅葉も奇麗。
 同じく、黄色い花が房状に垂れ下がって咲く、キブシ(黄ブシ、木ブシ)は、キブシ科キブシ属で、3~5月に釣り鐘型の淡い黄色の花を房状につける。雌雄異種で、ニオイトサミズキよりも房が長くは花数も多いが香りは無い。海岸近くにも見られ、エノシマキブシと呼ばれる種類もある。

続く。

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