コラム

2016-08-14

遺言書を残した方が良いのか、残さない方が良いのか?

毎日暑いですね。暑いうえに、オリンピックや甲子園も見たい・・・やる事は多くて疲れちゃいますね。熱中症や夏バテ、寝不足にはくれぐれも気を付けましょう!
さて、今回は「遺言書」についてです。

遺言書は残した方が良いのか?

 遺言書には大きく分けて「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」「公正証書遺言」の3種類があります。それぞれの特徴はマニュアル本に書かれている通りで、ここでの詳しい説明は省きますが一般的には「公正証書遺言」を作成しておくのが最も望ましいとされています。しかし、実際に公正証書遺言書を作成したとしても、根源的な話として「遺言書を残しておけば大丈夫なの?」という疑問が浮かんできませんか?
 ご存知のように法律的に有効な遺言書が存在する場合には、遺産の分割方法を指定することができます。遺産分割を禁止することも含めて様々な指定をすることができる訳です。遺言書の内容に関して相続人(財産を受け取る人)が異議を申し立てることは、基本的にはできません。裁判所による判例においても、遺言書と異なる遺産分割協議はできないとされています。このように遺言書は絶対的なものですが、相続にまつわるトラブルを防ぐことができるかどうかというと事情が大きく変わってきます。
 遺言書は財産を残す人の意思を尊重するものですから、財産を受け取る人(家族など)の意思とは別という事になります。遺言書の存在そのものがトラブルを生むケースも見られますし、その内容が特定の家族を偏重するものであればトラブルは更に増大する可能性もあります。遺言書を残す一方で、なぜそのような遺産分割を行うのかについて生前家族と話し合いを持つ方法も有効であると思いますし、遺言書の存在そのものを秘密にしたい場合には、遺言書の中にその文言を入れるだけでも受け取る側の気持ちは全く変わってくるでしょう。
 つまり遺言書は、財産を残す人の意思を有効にするという意味において「残した方が良い」のは間違いありませんが、財産を受け取る人の気持ちや感情、経済的な環境などを最大限考慮して不平等感が生まれないような配慮が必要という事です。文章にすれば簡単に聞こえますが、これは極めて難しい問題ですね。

遺言書が必要な人は?

 少しニュアンスを変えましょう。前段において遺言書は残した方が良いと書きましたが、更に「こういう人はぜひ遺言書を残しておいていただきたい」というケースです。

①子どもがいない人
 遺言書があれば(極端に言えば)全財産を配偶者にわたすことができます。もし遺言書がなければ親や兄弟姉妹と遺産分割を協議することになります。長年連れ添った配偶者に少しでも多くの財産を残したいという人は是非、遺言書を残しておいた方が良いでしょう。

②子どもが2人以上いる人
 のちのち分割しづらくなる自宅などの不動産を受け取る家族を遺言書で指定することができます。相続は一代限りではありません。ましてや自宅などの不動産を共有で相続した場合には、共有で相続した子どもの子ども、そのまた子ども・・・というように名義人がどんどん増えてしまい手続きが非常に煩雑になってしまう可能性があります。「共有名義」はなるべく避ける、というのが相続の基本です。

③事業をしている人
 事業とは、会社を経営している人だけでなく例えば「アパート経営」などもれっきとした不動産賃貸業です。空室などの経営リスクもありますし、ゆくゆくは修繕費用もかかりますね。負債がある場合もあります。アパートなどを相続した家族が将来いろいろなリスクに対応できるように現預金など他の財産を多めに残してあげるというような配慮も必要なのではないでしょうか。

④同居人がいる人
 家族親族以外のいわゆる「同居人」が継続して自宅に住む場合には遺言書が必要です。法律上では「戸籍」に名前が載っていないと財産を受け取ることは一切できません。

⑤再婚した人
 現在の配偶者と子どもとの間に血縁関係がない場合にも遺言書は是非残してください。前の配偶者や子どもと現在の配偶者や子どもが、本人の亡くなったあとに初めて顔を合わせた時にどういう事が起こるかは容易に想像できます。

⑥相続人がいない人、あるいは相続人以外の人に財産を残したい人
 相続人がいなければ財産は国に徴収されてしまいます。介護などでお世話になった人へ財産を残したい場合などには遺言書が必要です。また長年可愛がったペットの世話をしてくれる人や、自宅・墓地などの管理をしてくれる人へ財産の一部を残したいという人も最近増えていますが、その場合も遺言書が必ず必要です。NPO団体や母校、地方公共団体などに寄付をしたい場合も同様です。

⑦相続人ごとに相続財産を指定したい人
 例えば配偶者には自宅、長男には現預金とアパート、次男には現預金と保険金、というように相続財産をそれぞれ指定したい場合にも遺言書は必ず残してほしいですね。

まとめ

 繰り返しになりますが、遺言書は絶対的な効力を持つが故に「なぜそのような遺言書を残すのか」を、財産を受け取る人たちにきちんと伝える必要があります。ただし伝えるだけでは一方通行になりかねませんので、「理解してもらう」事も大事です。
 毎年8000件~10000件の案件が家庭裁判所に持ち込まれますが大部分が「財産の分割方法」に由来するトラブルです。その事からも、相続トラブルは「財産が多い人」や「相続税がかかる人」のみの問題ではなく、何かしらの人間関係を築いてきた人全員、言い換えれば「この世に生を受けた人」全員に起こりうる問題であると言えましょう。
  「遺言書の存在≠トラブルの防止」である事を認識して頂ければ幸いです。

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