コラム

2016-07-18

法人設立のメリット・デメリット

税金対策抜きに不動産投資で利益は得られないと言われるほど、不動産投資と税金は切っても切れない関係です。加えて最近の税制改正によって相続税対策の必要も大きくなり、日々の税金と将来の相続とに頭を悩ませるオーナー様も多くいらっしゃいます。
そうした状況のためか、最近『法人設立』に大きな注目が集まっています。節税と相続の両方に効果を発揮するという法人設立とはいったいどのような仕組みなのでしょうか。

法人設立のメリット その①

法人設立が節税対策として注目される理由として、まず税率の利点があります。個人の所得税は所得が高くなるほど税率も高くなる累進課税であり、その最高税率は45%、住民税も加えると55%にも達します。一方、法人税は比例税であり、法人の種類や資本金、従業員数などによって変化はするものの、その実効税率は30%程度に収まります。
つまり、年間の所得金額が非常に多い人の場合、個人で払う所得税よりも法人税として支払うほうが安く済むケースが出てくるのです。

法人設立のメリット その②

また、従業員に給与を支払えるのも大きなメリットです。不動産所得をそのまま所得にすると規定の税率分だけ税金が発生しますが、自らが法人の従業員となって給与として受け取れば「給与所得控除」を受けることができます。例えば給与が500万円であれば、154万円の給与所得控除が受けられ、残り346万円に対する所得税だけで済むことになります。配偶者や子供にも従業員になってもらえば、控除できる給与所得控除も増えますから、節税効果がいっそう高まるとともに、生前からの資産分散も実現するという一石二鳥の施策になります。

法人設立のメリット その③

3つめのメリットは、法人設立によって「経費」の範囲が広がることです。個人の場合、経費は「収益を生むために必要な費用のみ」しか計上できませんが、法人の場合は様々な費用を経費として計上できます。
例えば、生命保険等の保険料も経費にできますし、退職金の準備として支払う小規模企業共済の掛け金も経費にできます。経費は会計上の「損金」であり、損金が増えれば税率のかかる金額が減り、結果として節税効果が高まるということです。

法人設立のデメリット

しかし、法人設立は良いことづくしの魔法の杖ではありません。所得の大きさや不動産以外からの収入状況みよっては、逆に税金が高くなることもありますから、設立前に入念にシュミレーションを行うとともに、法人ゆえの支出やデメリットをきちんと理解しておく必要があります。
法人を設立・維持するには手間や費用がかかります。株式会社の設立には最低でも20万円程度の費用がかかりますし、設立後は事務作業や経理処理も煩雑になるため、税理士費用等も必要になります。設立した法人に不動産を所有させるのであれば、不動産所得税や登記費用も発生します。無事に不動産を取得して家族を従業員に迎えたとして、給与所得控除の恩恵を受ける一方で、法人には社会保険加入の義務が発生し、個人では必要のなかった社会保険料の支払いが必要になります。また、売却に際しても一概に法人がお得とは言えません。不動産売却の税金は、法人の場合30%程度の法人税となり、個人の短期譲渡税率39%を下回りますが、5年超の保有(長期譲渡)であれば個人は20%の税率で済ますことができるからです。

法人設立の判断基準

不動産投資は購入から運用を経て、売却を終えるまで利益が確定しない投資です。法人設立は確かにメリットが大きい施策ですが、目先の節税額に惑わされてしまい、トータルでは個人のままのほうが良かった、なんて結末では元も子もありません。
一般には所得が600万円~900万円程度の場合に法人設立のほうが得であると言われてはいますが、収入の内訳や家族構成、借入金の多寡などによって結果は大きく変わります。法人を設立する際には、不動産売却時や相続発生後まで見据えた、『総合的な判断』が必要不可欠となります。また「何の効果に重きを置くか」、つまりコストに重きを置くのか、あるいは取引相手との関係(例えば、個人より法人のほうが取引相手にとっての信頼度が上がる?)を重視するのかなど、オーナー様の主観によってメリットやデメリットも変化しますから、いずれにしても設立前に充分に考慮して行動することが大事なことです。

この記事を書いたプロ

くらしのデザイン研究所 [ホームページ]

ファイナンシャルプランナー 長谷川泰且

神奈川県相模原市南区鵜野森1-32-21-205 [地図]
TEL:090-5120-6299

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
費用について

費用の全体像は事務所HPをご覧ください。➡http://kurashinodesign.web.fc2.com/cost.htmlファイナンシャルプランナーへお金の相談をするときは、原則有料相談にな...

特色について

全体像は事務所HPをご覧ください。➡http://kurashinodesign.web.fc2.com/index.html■特色は4つあります。  ❶ 相続対策/老後生活資金準備対策の専門ファイナ...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
長谷川泰且 はせがわやすあき

「相続対策」「リタイア後資金」の両輪で豊かな人生を支えるFP(1/3)

 相続対策や老後資金を丁寧に相談に乗ってくれるファイナンシャルプランナーがいます。長谷川泰且さんは、節税対策が主流の相続対策の現状を懸念しています。「現在、相続税のかからない人は、約90%以上いると言われています。相続対策の主流が節税だとす...

長谷川泰且プロに相談してみよう!

朝日新聞 マイベストプロ

誰もが迎える相続と老後資金を本人と家族が満足するように解決

会社名 : くらしのデザイン研究所
住所 : 神奈川県相模原市南区鵜野森1-32-21-205 [地図]
TEL : 090-5120-6299

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

090-5120-6299

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

長谷川泰且(はせがわやすあき)

くらしのデザイン研究所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
このプロへのみんなの声

生活費の見直しで『貯金』ができるようになりました。

私は20代独身男性です。昨年就職して今は仕事に夢中ですが...

T・T
  • 20代/男性 
  • 参考になった数(1

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
遺言書を残した方が良いのか、残さない方が良いのか?

毎日暑いですね。暑いうえに、オリンピックや甲子園も見たい・・・やる事は多くて疲れちゃいますね。熱中症や夏バ...

[ 相続 ]

賃貸経営における「2019年問題」とは何でしょうか?
イメージ

皆さん、「2019年問題」という言葉を聞いたことはありますか?この「2019年問題」とは、住宅需要の低下...

[ 不動産賃貸 ]

「円満相続」について
イメージ

こんにちは。ファイナンシャルプランナーの長谷川泰且です。今日は「相続」についてコラムします。私は、①...

[ 相続 ]

軽費老人ホームとはどんな施設でしょうか。
イメージ

こんにちは。ファイナンシャルプランナーの長谷川泰且です。今回は、「軽費老人ホーム」について分かりやすく...

[ ライフプラン ]

国民年金保険料の未納を防ぎましょう。
イメージ

こんにちは。ファイナンシャルプランナーの長谷川です。お客さまから「遺族年金」や「障害年金」のご相談を...

[ 年金 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ