コラム

2015-09-20

相続対策を考えるうえでのポイント❺「遺言書」って本当に必要なのでしょうか?

こんにちは。【相続と老後資金準備】の専門FP 長谷川泰且 です。

今回は相続対策シリーズの5番目で【遺言書】に関してコラムしたいと思いますので、よろしくお願いします。

最近よく、専門家の先生方が【遺言書の書き方】についてセミナーや勉強会を開催されていますね。高齢者のご夫婦が行く光景などをよく見かけますが、わたしは常々【セミナーや勉強会に行って、みなさん本当に理解できているのかなあ?】と疑問を感じています。あとで少しだけご紹介しますが【遺言書】は、その書き方や必要書類・手続きがいろいろあって意外と複雑なのです。そして何より、お客さまが本当に知りたいのは【遺言書を書いた方がいいのかどうか?】であって、【書き方】ではないのではないでしょうか。

わたしも【相続と老後資金準備】の対策を中心にお客さまからのご相談を受けておりますので、もちろん遺言書の勉強はしているつもりです。でも相談に来られる方の大部分は【遺言書を書いた方がいいのか?】あるいは【遺言書の作成費用はいくらか?】と言った切実な内容なのです。遺言書の書き方を教えてもらうために相談に来るお客さまはゼロです。最終的に遺言書を書いた方がいい場合は行政書士や公証役場のお世話になる訳ですから、別に【書き方】を勉強しておく必要はないと思います。

という事で今回は、遺言書の作成方法などの細かい話ではなく【本来、遺言書を書いた方がいいのかどうか?】という観点でコラムしたいと思います。

遺言書を遺しておいたときのメリットは?


まず冒頭、遺言書には【公正証書遺言】と【自筆証書遺言】があります。他にもいくつかありますが、殆どの場合はこの2つです。そして【自筆証書遺言】は遺言書として認められるハードルがかなり高いですから、私はいつも【公正証書遺言】をお勧めします。誤解を防ぐために申し上げておきますと、私は常に遺言書をお勧めしているわけではありません。お客さまと相談した結果【遺言書を書いておいたほうがいい】という場合には公正証書遺言をお勧めしているという意味です。

公正証書遺言の作成費用はだいたい10万円くらいでしょう。大きな金額を請求されたら「おかしい」と思ってください。必要なものは、印鑑証明書・戸籍・不動産の登記簿や固定資産税評価証明書などです。少し面倒ですが専門家に依頼することもできますから、実際はそれほど手間暇はかからないでしょう。付け加えると、家族以外の「立会人」が2名必要です。

公正証書遺言を遺しておいたときのメリット

①詳細は省きますが、死後の財産分割が「ある程度」スムーズになります。ご理解いただきたいのは【決して財産分割の問題がなくなるわけではない】という事です。遺言書をきちんと書いている場合でも、家庭裁判所に審理を求める裁判は起きています。【遺言書を書かないよりは書いておいたほうがいい】という程度で考えたほうがいいかもしれません。それだけ、死後の財産分割を巡る争いは頻繁に起きているということです。

②財産分割に「イロ」をつける時には効果があります。例えば長男には不動産を、次男には金銭をという場合です。ただしこのケースにおいても裁判にもつれ込む場合はあります。

③家族以外に財産を遺したい時にも効果があります。例えば前妻との間に生まれた子供。きっちり認知もしていて法律的に問題はなくても、子供本人からすれば「言葉にできないある種の罪悪感」があるものです。また後妻の子供にとっても、顔を合わせたこともない異母兄弟になにかしらの嫌悪感を抱くのが人情です。そういう問題を大きくしないためにも遺言書は効果があります。しかし残念ながらこういうケースでも裁判にまでもつれ込むケースは多々あります。

④第三者に財産を遺しておきたい場合は、かなりの効果があります。例えば、【介護でとてもお世話になった長男のお嫁さん】です。お嫁さん自身は相続人ではありませんが、長男の取り分を多くすることでお嫁さんに対する想いを形にすることができます。また、最近多いのは【ペットのお世話をしてくれる人へ】財産を遺したいというケースです。子供が全員都会に出てしまっていてペットが飼えない場合、ご近所さんや専門業者などの第三者にペットのお世話を依頼するケースは結構増えています。ペットはすでに家族の一員なんですね。そんなとき、血縁関係のない第三者に財産を遺すことでペットへの愛情を形にするのです。

まだまだありますが、大事なことは【きちんとした遺言書(公正証書遺言)を遺しているからと言って財産問題がなくなるわけではない】ということです。また④の例のように、そもそも遺言書を遺していないといけない場合もあります。
あなたにとって【遺言書を遺したほうがいいかどうか】をしっかり検証しましょう。

遺言書を遺していなかった場合のデメリットは?


上記③や④の例のように、明らかに財産分割で問題が発生すると想定される場合です。前妻との間に生まれた子供の権利やペットの命そのものが危ぶまれることになります。

また【相続税】がかかる人の場合には、死後10か月以内に相続税の申告をしないと【軽減措置】を受ける事ができません。遺言書を遺さなかったことで財産分割に時間がかかり10か月を過ぎてしまうと、軽減措置が受けれない他に延滞税なども発生することがあります。【相続税】がかかると想定される人は、なるべく遺言書を書いておいたほうがいいでしょうね。

まとめ


【遺言書(公正証書遺言)】は、特に【相続税】がかかると想定される人は書くべきでしょう。決して問題がなくなると断言はできませんが、手続きの速さや税金面でかなりのメリットが見込めます。

【相続税】がかからない人の場合も、死後いろいろ起こりうる問題を軽減したい場合は一度ご検討ください。

しかしいずれの場合も【遺言書ですべて解決はできない】ことを理解していただきたいと思います!遺言書は【絶対的】なものではありません。そのような誤解を招く言い方をする専門家は世の中にたくさんいますから注意してください。そして一番大事なのは【家族との会話】なのです。

生前から家族と、さまざまな話をしてください。長男と次男で相続する財産の種類が異なるのであれば,その考えを息子に伝えておいてください。家族以外に財産を遺したい人がいるなら、そのことを家族にきちんと伝えておいてください。いきなり知らされるのと前もって知っているのとでは、後の反応が全く異なります。財産を遺す人も、遺される人も「人間」です。どんな場合も【会話】に勝るものはありません。

しっかりとした【家族との会話】をして、それを書面で残すという補完的な意味で【遺言書】を検討してくださいね。
わたしの経験で言うと、しっかりとした家族との会話ができていればたとえ【遺言書】がなくてもほとんど問題は起きません。

□【遺言書】の書き方など細かい情報は気にしない
□【遺言書さえ書けば大丈夫である】という誤解をしない
□遺言書は【書かないよりは書いた方がマシ】という気持ちで
□【相続税がかかる人】や、【家族以外の第三者に財産を遺したい人】は遺言書を書いたほうがいい
□遺言書の作成よりも【家族とのしっかりした会話】を心がげて

以上です。

なにか困ったことがあればいつでもご相談ください。

この記事を書いたプロ

くらしのデザイン研究所 [ホームページ]

ファイナンシャルプランナー 長谷川泰且

神奈川県相模原市南区鵜野森1-32-21-205 [地図]
TEL:090-5120-6299

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

1

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
費用について

費用の全体像は事務所HPをご覧ください。➡http://kurashinodesign.web.fc2.com/cost.htmlファイナンシャルプランナーへお金の相談をするときは、原則有料相談にな...

特色について

全体像は事務所HPをご覧ください。➡http://kurashinodesign.web.fc2.com/index.html■特色は4つあります。  ❶ 相続対策/老後生活資金準備対策の専門ファイナ...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
長谷川泰且 はせがわやすあき

「相続対策」「リタイア後資金」の両輪で豊かな人生を支えるFP(1/3)

 相続対策や老後資金を丁寧に相談に乗ってくれるファイナンシャルプランナーがいます。長谷川泰且さんは、節税対策が主流の相続対策の現状を懸念しています。「現在、相続税のかからない人は、約90%以上いると言われています。相続対策の主流が節税だとす...

長谷川泰且プロに相談してみよう!

朝日新聞 マイベストプロ

誰もが迎える相続と老後資金を本人と家族が満足するように解決

会社名 : くらしのデザイン研究所
住所 : 神奈川県相模原市南区鵜野森1-32-21-205 [地図]
TEL : 090-5120-6299

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

090-5120-6299

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

長谷川泰且(はせがわやすあき)

くらしのデザイン研究所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
このプロへのみんなの声

従業員の退職金の準備に協力してもらいました!

現在、IT系企業を経営しています。大手企業が参入していな...

N・I
  • 40代/男性 
  • 参考になった数(1

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
遺言書を残した方が良いのか、残さない方が良いのか?

毎日暑いですね。暑いうえに、オリンピックや甲子園も見たい・・・やる事は多くて疲れちゃいますね。熱中症や夏バ...

[ 相続 ]

賃貸経営における「2019年問題」とは何でしょうか?
イメージ

皆さん、「2019年問題」という言葉を聞いたことはありますか?この「2019年問題」とは、住宅需要の低下...

[ 不動産賃貸 ]

法人設立のメリット・デメリット

税金対策抜きに不動産投資で利益は得られないと言われるほど、不動産投資と税金は切っても切れない関係です。加え...

[ 法人 ]

「円満相続」について
イメージ

こんにちは。ファイナンシャルプランナーの長谷川泰且です。今日は「相続」についてコラムします。私は、①...

[ 相続 ]

軽費老人ホームとはどんな施設でしょうか。
イメージ

こんにちは。ファイナンシャルプランナーの長谷川泰且です。今回は、「軽費老人ホーム」について分かりやすく...

[ ライフプラン ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ