コラム

2015-09-13

相続対策を考えるうえでのポイント❷「教育資金の一括贈与」を使わない方がいい時もある?

こんにちは。【相続と老後資金】専門FP 長谷川 泰且です。

前回は、「相続対策」についてコラムしました。
相続税がかかる人は全体の数%に過ぎないので、いたずらに「税金対策」の情報に惑わされる事がないようにして欲しいということ、「税金対策」が必要でない人にとっても税金以外の「相続対策」は効果があるというお話をしました。

今回は相続税がかかる人にとっても、かからない人にとっても活用することができる「教育資金の一括贈与」についてコラムしようと思います。

「教育資金の一括贈与」は2年前にできた制度で、比較的新しい制度です。簡単に言うと、子供や孫の教育資金であれば一定金額(1,500万円)まで一括で非課税で贈与できる、という制度です。わたしは当時金融機関に勤めていましたが、特に孫への贈与について年配のお客さまから相談を受ける事がよくありました。みなさま非常に興味をもっている制度であると言えます。

制度の特徴をよく理解したうえで、「この制度を使った方がいい場合と、使わない方がいい場合」について考えてみたいと思います。

「教育資金の一括贈与」とはどのような制度でしょうか?

この制度は「直系尊属からの教育資金は一括贈与しても非課税になる」という制度です。直系尊属というのは両親または祖父母のことなので、子供や孫への教育資金は非課税になるという訳です。

この制度にはいくつかの条件があります。

①両親または祖父母からの贈与であること。
②贈与を受ける人、つまり子供や孫が「30歳未満」であること。
③教育資金であること。
④学習塾やスポーツクラブの費用なども含めて最大1,500万円までである。

などです。

わたしが相談を受けた例で言いますと、圧倒的に「祖父母」からのご相談が多いですね。子供に教育資金がかかる時期の両親は40歳代~50歳代が多く、例えば住宅ローンなどの負担もあったりなど比較的資金に余裕がない場合が多いのです。ですので資金的に余裕のある「祖父母」が孫への贈与を検討するケースが多くなります。

「相続」との関係はなんでしょうか?

まず、「相続税がかかる」と予想される人がこの制度の活用を考えるパターンです。

「相続税」を少なくしたい時は、相続財産の評価を下げるか、相続財産そのものを少なくするか、どちらかの対策をとることになります。孫への教育資金として1,500万円を一括贈与できれば、結果的に相続財産が1,500万円少なくなるわけですから当然、かかる相続税も安くなります。「贈与税」も非課税であれば、相続と贈与の両面からの税金対策にもなるし孫のためにもなるので一挙両得というわけですね。

次に、「相続税がかからない」と予想される人がこの制度の活用を考えるパターンです。

例えば孫が私立高校、私立大学に通うことになると合計で1,000万円以上の学費が必要になると言われています。その資金を祖父母が非課税でまとめて準備することが可能であれば、両親も助かるし孫のためにもなる。おまけに税金もかからない「贈与税」対策にもなるという事です。

このように、この制度は相続税と贈与税の両方からのメリットがある制度として、各金融機関も大きく宣伝しています。

でも、誰が使ってもメリットがあるという訳ではありません。

この制度を使わない方がいいケース。

使わない方がいいというと少し語弊があるかもしれません。正確には「税金面での効果があまり期待できない」ケースです。

例えば、祖父が70歳で孫が18歳であるケース。孫の大学進学を機に、この制度の活用を考えたい。このようなケースは非常に多いですが、実は『もともと教育資金をその都度負担するときはすべて非課税』なのです!入学金が100万円、授業料が50万円・・・と次々に必要になる教育資金をその都度祖父が負担するときは、金額の大小に関係なく「非課税」です。気をつけなければいけないことはたった一点、「その都度」支払うということ。まとめて一括で渡したら非課税にはならないんです。でも、祖父が70歳、孫が18歳なら孫の大学卒業まで祖父が元気である可能性も高いですから、その都度支払うことは可能ですよね。ですので、わざわざこの制度を使わなくても非課税で教育資金を負担することができるというわけです。

もちろん、この制度を使ってはいけないとか、損をするという事ではありません。しかし、実際に教育資金として使用する度にその領収書を金融機関に提出する必要があったり煩雑な手続きがあります。税金面での効果も期待できないのであれば、わざわざ制度利用する必要はないかも知れません。

この制度を使った方がいいケース。

では、こういう例ではどうでしょうか。

祖父が85歳、孫が6歳。孫の小学校入学を機に、この制度の活用を考えた場合です。最も学費がかかるであると思われる大学進学は12年後ですから、祖父は97歳になっています。大学卒業まで考えると祖父は100歳を超えますね。その場合は「その都度」教育資金を負担することができない可能性があります。祖父が亡くなってしまうという事です。教育資金の負担が終了する前に相続が発生してしまって相続税がかかるかも知れません。このようなケースでは「一括贈与」をしておいた方がいいかも知れませんね。

このように、効果が期待できそうに見える制度でも、その家庭ごとに検討したほうが良いという訳なんです。

ここ最近は、相続税や贈与税の改定、所得税の改定など「税金」にまつわる話は非常に目まぐるしいものがあります。
相続対策のコラムでも申し上げましたが、いたずらに情報に流されるのではなく、その人ごと・家庭ごとにしっかり考えた上で行動される事をお勧めします。

でも一般の方々が、全体的な効果を理解するのは難しいかもしれません。そんな時はぜひ専門家にご相談ください。きっと、あなたにピッタリの対策が見つかると思います。

ありがとうございました。

次回は「名義預金」についてコラムしたいと思います。

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